「スプリングバレー」でクラフトビール市場に参入した理由

キリンビールは今年からクラフトビール家庭用市場へ本格進出している。

3月23日に発売した「SPRING VALLEY 豊潤<496>」
3月23日に発売した「SPRING VALLEY 豊潤<496>」(画像提供=キリンビール)

3月23日から発売した「SPRING VALLEY 豊潤<496>(以下スプリングバレー)」は、ビール類市場の活性化はもとよりクラフトビール市場の拡大を狙った商品だ。今後のキリンビールの明暗を分けるブランドといえる。

同商品を発売した経緯について間木さんは次のように説明する。

「クラフトビールの認知度や需要は年々高まっていて、より多くのお客様にクラフトビールを手に取っていただきたいとの思いから缶で展開することはコロナ禍以前から計画していました。そんな中、コロナ禍を機に生活様式が一変したことでビールに対する価値観も変化し、『家飲み時間の充実』と『高級志向』のニーズが高まったことも発売の追い風となりました。大手酒類メーカーとして、クラフトビール市場への本格参入は覚悟が必要なものでしたが、クラフトビールの将来性や新奇性を考えれば、十分にポテンシャルはあると確信していました。クラフトビールならではの『本物志向』や『創造性』といった高付加価値をお客様へ届けることができれば、おいしさの選択肢が広げられるのではと思い、『スプリングバレー豊潤<496>』を市場へ投入したのです」

「生産者の顔が見える」ビールを目指す

また、消費者とのコミュニケーションやタッチポイントについても工夫しているという。

「実を言うと、『スプリングバレー』は構想から10年を要している商品なので、ブランド担当や開発担当がかける思いもひとしおです。TVCMやデジタルを使ったプロモーション以外にも、メディアプラットフォームの「note」を使って担当者が思いの丈を綴っています。これは、お客様とのインタラクティブなコミュニケーションを意識していることもありますが、クラフトビールの特徴である『生産者の顔が見える』ことが大切だと考えているためです。デジタルで話題喚起してバズを狙うよりも、ブランドの価値をお客様と共有することに重点を置いています」