予想以上のインフレが起きた時、FRBはなにをするか

日本のバブルを十分に研究していたとは思えないFRBの対応が遅れ、米国はものすごいインフレになると私は思っている。その時の対処方法は「強烈な金利引き上げ」と、「強烈なドル高政策」しかない。

米国はインフレ抑制のために「ドル高政策」を宣言せざるを得ないとも思っている。では、米国がドル高政策を選択すると、日本はどうなるか?

ワシントンDC.にある連邦準備銀行
写真=iStock.com/AdamParent
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このような米国市場の動き、米国の為替政策の変化が起これば、日本は地獄を迎えてしまう。日米金利差急拡大でドル高/円安が進行する。それによって日本の景気も急回復し、インフレ率も遅ればせながら上昇する。

一見望ましいシナリオに思えるが、そうではない。日銀は異次元緩和のツケでインフレ率が上昇すると窮地に陥る。

引き締めへの転換が不可欠だが、手法が無い。引締めを行えば日銀が債務超過に陥ってしまうのだ。保有国債の利回りが著しく低いので、長期金利が少しでも上昇すると、評価損が発生する。

しかも保有額が巨額ゆえに評価損は半端な数字ではなく、時価評価で巨大な債務超過に陥る。また短期金利を引き上げれば、損の垂れ流しで簿価会計でも簡単に債務超過に陥ってしまう。

「金利引き上げ」と「ドル高」から資産を守る方法

インフレが加速するリスクが多少なりともある限り、自分の資産を円資産のみで保有するのはあまりに危険だと言わざるを得ない。たとえ起こる確率が小さくても、万が一起こった時に自己破産するような資産運用はまずい。

やはり世界最強国家、アメリカの資産を多少でも買うのが鉄則だ。米国は経済・政治・軍事力でいまだ世界最強国家だ。コロナ禍からの回復も早いし、世界の二大資源であるエネルギーとIT産業を握っている。

インフレが米国で加速するのならドルを持つのは不合理ではないか? とおっしゃるかもしれない。

しかし、今回のインフレは米国だけの話ではない。前述したように、日本にも波及するだろうし、世界中を巻き込んだインフレとなりそうだ。すなわち世界中のすべての法定通貨の価値が下落する。

すべての法定通貨の価値が下落したところで、暗号資産が世界を圧倒しない限り、または物々交換の世界に戻らない限り、世界で最低一つの法定通貨は生き残る。それは世界の基軸通貨ドルだと思う。

しかしも為替とは相対的な話で、どちらの通貨がより弱くなるか? という話だ。ドルが弱くなっても、円が、より弱くなるのならドル/円は上昇する。それがゆえに、ドル資産購入を私はお勧めしている。