副作用をめぐって、接種基準の変更が続いていたが…

ワクチン接種で出遅れた上、アストラゼネカ製のワクチンによる副作用をめぐって、何度も接種基準の変更が続き、国民の政府への不満が高まっていたドイツだが、4月後半からワクチン接種のテンポがメキメキと上がり始めた。

米ファイザーと独ビオンテックが開発した新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける女性
写真=AFP/時事通信フォト
米ファイザーと独ビオンテックが開発した新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける女性=2021年4月7日、ドイツ・ハーゲン

もともと、こういうことを秩序立てて進めるのはドイツ人の得意とするところでもある。4月28日には、なんと1日の接種件数が100万件を超え、この調子でいけば、7月の終わりには希望者全員がワクチン接種を終える予定だ。

それどころか、今年の夏休みには、接種対象が現在の18歳以上(ファイザー/ビオンテック製に限っては16歳以上)から12歳以上にまで拡大され、子供もワクチン接種が可能になるだろう、と政府は意気込んでいる。ただし、ワクチン接種にことのほか熱心なドイツ人でも、いざ自分の子供となると、「受けさせたい」という人はまだ半分弱だそうだが。

「接種完了者には制限を解除しろ」

そのドイツで、接種完了者が増えるにつれて始まったのが基本的人権についての議論である。ドイツでは、すでに1年以上も職業の自由、集会の自由、外出、私的な会合、教育を受ける権利などといった、本来なら基本的人権とされる権利が大幅に制限されたままになっている。その上、現在は第3波の拡大を防ぐためという理由で、「緊急ブレーキ」と呼ばれるさらに厳しいロックダウンが全国で実施されている。

だからなおのこと、早く昔のように自由になりたいという欲求ははちきれんばかりで、「ワクチン接種完了者に対しては、制限をすぐに解除しろ」という声が、すでに政治家が無視できないほど高くなっていた。

つまり、現在、ロックダウン中のドイツで議論されているのは「では、それら基本的人権をいつ、どのように、そして誰に対して回復していくか」ということだ。