医療保険でカバーできる部分は少なかった

がん治療の費用は、部位や進行度、受ける治療、年齢などによって異なる。筆者の場合は、「乳房温存の部分切除」の手術で11日間の入院、病理診断の結果を受けて再発予防の抗がん剤と放射線の治療を外来で受けた。

「抗がん剤」と「放射線」の治療のための通院期間が実に長かった。抗がん剤治療は、3週間に1度の投与が3カ月、毎週投与が3カ月、トータル6カ月間。放射線治療は、なんと月曜日から金曜日まで毎日照射を受けるために通院する。それが6週間にわたった。放射線治療の際は、交通費の節約のために1カ月定期券を買ったくらいだ。

治療の場面ごとに「かかるお金」と、出費を補てんする「頼れる制度」「医療保険」「がん保険」を図にまとめてみると、医療保険でカバーできる場面は少ないのが一目瞭然だ。入院・手術をしないと給付金は受け取れない。

病院の待合室
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がん診断給付金はウィッグ購入に充てた

現在の治療の実態を鑑みると、抗がん剤と放射線の治療費は医療保険ではカバーできず、月々の収入や貯蓄から捻出することになる。だとすると、病気の治療費の備えは、貯蓄を基本としつつ、外来での治療が長引くがん治療の費用が心配な場合は、がん保険で備えるのも一法だ。

がん保険の多くは、がんになると100万円などまとまった金額が一時金で受け取れる「がん診断給付金」がついている。何に使ってもいい一時金があると、入院費用にも使えるし、外来での治療費にも使える。

筆者の場合は、がん診断給付金をウィッグ購入に役立てた。抗がん剤の副作用で毛髪がすっかり抜けてしまったのでウィッグはマスト。仕事を続けていたので、自然に見えるウィッグを買う必要があったのだが、いいものはお値段もそれなりに高い。加入のがん保険から100万円の一時金を受け取ったので、その一部で満足のいくウィッグを購入することにした。