「消費税抜き、充実社会保障」の国はない

こうやって働き手が減る一方で65歳以上の高齢人口は増えていきます。ピークは2042年の3935万人です。しかし、もっと見なければいけないのは、介護費や医療費が跳ね上がる75歳以上の後期高齢者の人口です。2054年に2449万人です。その時の生産年齢人口は、今の3分の2程度にまで減っています。

こういう状態ですので、増税と緊縮をして財政再建をするなど不可能です。本気で再建するなら、超異次元の増税と緊縮をしなければなりませんが、国民が受け入れるわけがありません。私はたまたま本を書く機会を得て、その過程で色々勉強したのでこのような認識になりましたが、本を書いていなかったら、そうはなっていないでしょう。気楽に「消費税廃止!」などと言えていたかもしれません。

仮に、重い消費税負担抜きで社会保障を充実させている国がこの地球上に一つでも存在したならば、私は消費税廃止を主張していたかもしれません。しかし、そんな国は無いのです。例えばデンマーク、スウェーデン、フィンランドはいずれも対GDP比で言えば日本の倍以上消費税を取っています。なお、この点について、「対GDP比」ではなく、「税収構成比」を示して、日本の消費税負担は重いとミスリードする主張があります。これは大間違いです。税は国民が生み出した付加価値から取るのですから、税負担の軽重は「対GDP比」で見なければなりません。

「広く安定してがっぽりとれる」のが消費税

デンマークの消費課税構成比が日本のそれより低いのは、所得税を日本よりはるかに多く取っているからです。GDP比で見ればOECD加盟国の中でダントツです。所得税収の構成比が大きい分、消費税収の構成比が下がっているだけです。

消費税は世界155カ国(2019年4月現在)で採用されている税金です。なぜこんなに世界中で採用されているのか。その背景には、少子高齢化があります。少子高齢化に直面しているのは日本だけではないのです。

所得税や法人税だけでこの増大していく社会保障費を賄おうとすると、現役世代の負担額が増え過ぎてしまいます。だから全世代が負担する消費税、ということになるのです。消費税の特徴は税収の推移を見るとよく分かります(図表2)。

一般会計税収の推移

例えばリーマンショックに襲われた2008年度と09年度、所得税も法人税も大きく落ちています。それと比較すると、消費税収の方はほとんど落ちていません。これは、消費税は赤字でも納める必要があるからです。消費税について直接納税義務があるのは事業者です。そして、消費税は、ざっくり言えば、売上から仕入を引いた額に課税されます。だから赤字でも納めなければならず、景気に左右されないのです。さらに、負担者は全世代です。つまり、「広く安定してがっぽりとれる」のが消費税ということです。