「日本が化石賞を受賞」と大騒ぎで報道するが実態は…
例えば、日本人が、信じなくてもいいのに信じているのが、日本は環境後進国であるという説。特に、日本メディアが、「日本が化石賞を受賞しました」などと声高に取り上げているのは醜悪である。
化石賞というのは、環境NGOのネットワークであるCAN(Climate Action Network)が出しているパロディー賞で、COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)にオブザーバーとして参加している彼らが、毎年やっている「悪ふざけ」のようなもの。
実際に化石賞についてドイツでは聞いたことがないから、小泉進次郎環境相が「大騒ぎで報道しているのは日本だけ」というのは本当だろう。それなのにWWFジャパンはホームページで化石賞のことを、「多くのCOP参加者が詰めかける一大イベントで、その様子は国内外のメディアを通して世界に発信され」とはしゃいでいた。
ちなみにこの「一大イベント」は、会場のフロアでやっている。
2019年の日本の受賞理由は、梶山弘志経産相の「火力発電所は選択肢として残していきたい」という発言。2020年は、小泉環境相が脱石炭や温室効果ガス削減に積極的な姿勢を示さなかったからだそうだ。
エネルギー貧国で産業国の日本が停電を起こさないための方策
しかし、産業国日本が電力を安定供給するためには、火力発電所を当面の選択肢として残すのは当然のことだ。原発もろくに動いていない今、火力まで早急になくしてしまったら、間違いなく国が滅びる。エネルギー貧国の日本が停電を起こさないためには、電源は多角的に、安価に、そして周到すぎるほど周到に確保していかなければならない。
また、小泉環境相が脱石炭や温室効果ガス削減に積極的な姿勢を示さなかったからと言って、それがどうした? 資源エネルギー庁のウェブサイトによれば、「日本は2013年度以降5年連続で、温室効果ガスの排出量を削減しています。これはG20の中で日本と英国のみで、合計で12%の削減は、英国に次ぐ削減量であり、直近の着実な対策でも世界をリードしています」とあるではないか。
やることはちゃんとやっている。小泉環境相に落ち度があるとすれば、それをちゃんと発信しなかったことだろう。