否決で終えた都構想住民投票、それでも「最後」とはならない重大理由
前号までは都構想運動の10年を振り返った。
そこできれいに終わろうと思ったんだけど、一つどうしても言っておきたいことがある。これは、3度目の大阪都構想の住民投票を正当化する理由ともなることだ。
11月1日の否決後の記者会見において、松井一郎大阪市長も、吉村洋文大阪府知事も、3度目の住民投票はないと言明した。松井さんは2023年4月に迎える任期満了をもって政治家を引退すると宣言。吉村さんも自身の進退に触れなかったものの、自分が政治家である間に大阪都構想の住民投票に再び挑戦することはないと言い切った。
だから仮に3度目があるとしても、吉村さんの次の世代の大阪維新の会メンバーによることになると思うけどね。
Vol.228(【都構想後の大阪成長戦略(2)】大阪市は残った。だからこそ重くなる「維新」の役割)で述べた通り、東京においても都構想が完成するまでに実に48年かかった。このタイムスパンを考えると、大阪において都構想運動が始まったのが2010年だから、これから40年ほどの間に、吉村さんの次の世代以後が都構想に挑戦したとしても何ら不思議ではない。都構想とはそれくらいの時間が必要な話なんだ。
で、3度目の住民投票を正当化する理由とは何か?
これは、住民投票の公正さを害した事件があったことなんだ。
(略)
この経緯からすれば、裁判所や選挙管理委員会は、公職選挙法205条によって、今回の住民投票を無効とした可能性は十分に高い。
しかし松井さんと吉村さん、そして大阪維新の会は敗北宣言を行い、裁判所に訴えることはなかった。
これは、いくらメディアが不公正な報道をやったとしても、最後は自分たちの力不足であったことを認めるという、ある種の潔さの「美学」であるとしか言いようがない。
ただしこれは今の維新の会の「美学」である。吉村さんの次の世代は、この「美学」に縛られる必要性も理由もない。
したがって、この住民投票を無効にし得た毎日新聞の不公正報道事件は、3度目の大阪都構想の住民投票をやる理由として十分成り立つと思う。
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※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.229(12月22日配信)の「本論」から冒頭部分を抜粋したものです。もっと読みたい方は、メールマガジン購読をご検討ください。今号は《【選挙における公正とは何か】米大統領選、都構想住民投票から考える「決着」の条件》特集です。