福島の原発事故を巡り、上司と部下の対立が頻発している政界。組織の成り立ちや、日本と欧米の考え方の相違などを用いて、上下対立の問題を紐解く。

あらゆる組織に隠れている対立の種

福島の原発事故への対応過程で上司と部下の意見対立が顕在化した。最初は原子炉冷却のために海水注入を続けるべきかどうかを巡る現場と総理大臣官邸との対立であった。この件で、官邸が命令権を持っていたのかどうかは不明のままである。官邸の中止指示にもかかわらず、現場は海水注入を続けたという対立があったことが後に明らかになった。

もう一つは、原子力発電を今後も継続すべきかどうかを巡る総理大臣と経済産業大臣との対立である。この対立はまだ続いている。今後も原発を利用し続けるのかどうかについての政府方針は、依然として明確ではない。