ゴールドマン・サックス証券副会長のキャシー松井さんは、1999年に「働く女性が増えることが経済成長につながる」という「ウーマノミクス」のリポートを書きました。しかしそれから20年以上経った今も、日本は女性が働き続けることが容易な国であるとは言えません。長く日本の働く女性を見てきた松井さんに、お話を聞きました。
ゴールドマン・サックス証券副会長のキャシー松井さん
ゴールドマン・サックス証券副会長のキャシー松井さん(同社提供)

ダイバーシティに理解がない取引先をどうするか

私はよく、働く女性たちから、社内外の人間関係、キャリアの構築の仕方、リーダーとしてのあり方などのさまざまな悩みを相談されます。最近受けた相談の中で気になったものの一つが、「ダイバーシティに理解のない取引先にどう対応したらいいか」というものです。

自分の会社の中でダイバーシティが浸透していない場合は、上司や同僚、人事部に働きかけるなどの対応が考えられますが、取引先や顧客企業など、他社とのやりとりの中で差別的な対応をされる場合は簡単ではありません。取引先ですから、こちらのやり方も主張しにくい。かなり難しい状況だと思います。

ダイバーシティについての理解や施策は徐々に浸透してきてはいますが、まだまだ企業によってその度合いには大きな差があります。ですから、こうした状況はたくさん起こっていると思います。ただこれからは、セクハラや差別的な発言・行動があるなど、自社のダイバーシティの方針に反する行為がある取引先には、会社として抗議したり、時には取引を打ち切るといった厳しい対応を取ることも考えなければいけないでしょう。