評価の尺度がフェアな仕事を選ぶ

できれば、働き方やふるまいを男性に合わせて評価してもらうのではなく、ジェンダーに関係なく透明性の高い評価をしてくれる業種や会社を選ぶ方がよいと思います。仕事の評価の尺度がフェア(公正)で明確であることは、特に女性には重要だと思います。

例えば私が就いているアナリストという職業は、比較的評価の透明性が高い仕事です。定期的に顧客から評価されますし、それがアナリスト全員に共有されます。私が長くこの仕事を続けられている理由の一つは、ここにあるように思います。

もちろん、成果を客観的に評価しにくい仕事もありますし、評価の透明性の高さの測り方は一様ではありません。しかし、性別や国籍、LGBTなどの性的マイノリティーかどうかなど、理不尽な要素が入りにくい評価制度があるかどうかは、しっかり見た方がいいでしょう。

管理職は、誰にとっても最初は大変

私もそうでしたが、これまでプレーヤーとしてやってきたのに、突然マネジャーの役割を担うのは簡単なことではありません。今までは自分のことだけやっていればよかったのが、いきなり他の人のパフォーマンスも見なくてはならなくなる。自分の思うようにコントロールがききませんから、最初のうちは誰でもマネジメントに苦労します。

私の失敗例を一つお話ししましょう。私が日本の共同調査部長になったときのことです。ある若い女性社員が、私の部下にあたる男性上司に対する不満を私に訴えてきました。それを聞いた私は、直接その男性に「こういうクレームがあったから直しなさい」と伝えました。しかしこれが、ちょっとしたトラブルにつながってしまいました。私の犯した間違いは、女性社員の話しか聞かずに判断してしまったところにあります。両サイドの話を聞いて、事実関係を確認したうえで判断すべきだったのです。

リーダーとしてのふるまい方は、誰かが手取り足取り教えてくれるわけではありません。時にはこうして失敗しながら、自分で一つひとつ学んでいくしかないのです。

“トーンセッティング”の重要性も、日常の仕事の中から学びました。メンバー全員が「ここで働くのは楽しい」「自分は成長できている」と思えるような、明るい雰囲気づくりに、リーダーが果たす役割はとても大きいのです。前日の夜に悲しい出来事があったとしても、どんなに疲れていても、翌朝オフィスに入るときは「おはようございます!」と元気よく言うようにしています。リーダーが暗いと、組織内の雰囲気も暗くなってしまうからです。