日銀との関係は安倍首相と同じように進める

出馬会見では「日銀との関係は安倍首相と同じように進める」と述べました。各国の中央銀行はバランスシートの拡大を進めており、米国のFRBは7兆ドル(741兆円)であるのに対して日銀は約650兆円であることからも金融緩和の拡大余地は残されており、どのような判断を下すのか注目されます。

菅氏が掲げるアベノミクスの継承はベンチャー企業界隈にも朗報です。アベノミクスによる金融緩和は日本経済を底上げし、上場企業の経常利益が約48兆円から約83兆円にまでほぼ倍増。結果、マネーがスタートアップまで行き届くようになりました。ユニコーン企業の芽を絶やさないためにもスタートアップの資金調達における更なる規制緩和もスガノミクスでは必要でしょう。

実務家タイプの菅氏は、NHK受信料、携帯電話料金値下げも先導してきました。値下げは国民の家計にダイレクトに影響を与える政策でした。また規制改革や法人税減税は真の意味で企業の国際競争力を育てることに繋がり、観光対策では外国人ビザ緩和によって経済を活発化させてきました。医療・教育など改革が進みにくい分野はまだまだありますが、菅氏はデジタルトランスフォーメーションにも意欲を見せています。菅氏は「地方金融機関の数が多すぎる」とも述べており、地銀再編の思惑も浮上しました。菅氏がありとあらゆる縦割りを取り払っていく可能性が指摘されており、経済自由度が増していく日本の未来への期待感を高めています。

また菅氏は実務を効率的に進めるために内閣人事局を設置し、官僚の人事を内閣が主導する官邸主導型の体制を確立させました。ポジションを戦略的に変更することで組織は効率的に回るようになりました。「仕組み作りの天才」と言われる菅氏が自身によって整えた「仕組み」の上で実行力をさらに発揮していくでしょう。

菅氏の政治家としての特徴は無派閥かつ叩き上げ。朝食会などで市場関係者を招いて、マーケットの意向を丁寧に聞き、情報収集を大切にしていることでも有名です。派閥や特定省庁といったしがらみが少ない総理の誕生は、一般人でも総理になれることで国民を勇気づけ、日本の新しい時代の到来を感じさせます。海外投資家からの注目も大きくなると予測されます。「令和おじさん」として幅広い年齢層からの人気も抜群です。満を持して、菅氏にしかできない「スガノミクス」の開幕です。

(写真=毎日新聞/AFLO)
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