ここで、私が文章を書くときに気をつけていることをいくつか挙げてみたいと思います。 私は文章はなるべく短くするように心がけています。そのほうがシャープになるからです。日本語というのは、文法的には主語がなくても成り立ってしまう言葉です。そのせいか、途中で主語や話題の主体が入れ代わってしまい、切れ目なく続く文章が、とくに若い人のレポートなどでは目立ちます。平安時代の文学作品ならまだしも、ビジネス文書ではこれは不可です。

仮に平安文学調でも、1対1で面と向かって話しているときは通じますが、それを文章にすると、読解に努力が必要なものとなってしまいます。何を伝えたいかわからないと言われてしまうのも、多くはこのような文章です。

この日本語の特性を理解して、ビジネス文書では意識的に主語をはっきりさせたほうがいい。行動の主体はいったい「私は」なのか、「会社が」なのか、それとも「私も」なのか。そこに気をつけただけでも、話の筋道がスッキリしたシャープな文章になるはずです。

内容的にも、すべてをダラダラと書くのではなく、私の場合は凝縮することに時間をかけます。いらない部分は、思い切ってバサバサと捨てる。絶対必要なものだけが残っている文章のほうが訴える力も強くなるはず。ですから、いちばん難しいのはタイトルを決めるときです。何を伝えたいかは最後はタイトルに表れるわけですから。

構成についても、各パラグラフ(段落)の最初に、そのパラグラフの結論となる一文をもってきて、各パラグラフの最初だけ読めば速読ができるよう気を配ります。