「誰かのために役に立つこと」を考えてみる

私はこれまで、高齢者にパソコンを教えたりという活動も行ってきました。そのときに、まず大事だと思ったのは、「コンピューターとは、どんなふうに使うと便利なものなのか」をわかってもらうこと。ですから、まずはエクセルで「お花見の会計報告を作ってみましょう」と提案しました。そうすれば、エクセルがどういう役割を果たしているかわかりますから。

しかし生徒さんたちは猛反発。「数字やカタカナ、アルファベットがいっぱいあって面白くない」というのです。だったら何か面白いものを作ろうと「エクセルアート」を考案したんです。

「エクセルアート」をプリントしたブラウスを着て、オンライン取材に応える若宮さん
「エクセルアート」をプリントしたブラウスを着て、オンライン取材に応える若宮さん

「エクセルアート」とは、手芸のような感覚で、セルに色をつけて図案を描いたもの。その図案を印刷してうちわをつくったり、布にプリントしてブラウスに仕立てたりできます。自由に作品をつくり上げるのは、本当に楽しいですよ。今日の取材で着ているブラウスも、エクセルアートをプリントしたもの。2018年に天皇皇后両陛下主催の園遊会へ招待されたときにも、アクセルアートをプリントしたロングドレスで参加しました。

実は「hinadan」も、生徒さんの声がヒントになりました。高齢者はスマートフォンを持ってはいるけれど、使いこなせていない人が多く、単に「値段が高くて使いにくい携帯電話」になってしまっている。高齢者が楽しめるアプリが少ないというのも、その原因の一つなのではないかと考えたのです。

そこで冒頭でもお伝えした通り、高齢者でも楽しめるゲームアプリをつくったわけです。つまり、「エクセルアート」にしても「hinadan」にしても、「高齢者にパソコンやスマホを面白く使ってもらうにはどうすればいいか」を考えて生まれたもの。「誰かのために」という動機があったのです。

ですから「好きなことや趣味が見つからない」という人は、まず家族や友人、近所の人など、「身の周りの人の役に立つことは何か」という視点を持ってみるといいと思います。

情報発信すると、人が集まってくる

新しいことを始めたり、新しいものを作ったりしたら、どんどん情報発信していくといいですね。私自身、「hinadan」を作って情報発信をしていたら、いろいろなメディアに取り上げられて、にわか有名人になっちゃった。にわか有名人になってからは、今まで行けなかったところに行けたり、めったにお会いできないような方にお会いできたり、さらにいろいろな情報が集まるようになりました。

そうして集まった情報は、抱えて死んでしまっても仕方がありません。それを発信すると、またどんどん集まってくるようになります。