人口減少、高齢化が進行し、首都圏における鉄道の沿線間の競争が過酷になっている。我々にとっては、住んでもらえる、選んでもらえる沿線づくりのためのヒントが示されている。

日本人のほとんどは、景気の循環は未来永劫繰り返すと信じているが、実際には人口の動態に大きな影響を受けているというのが本書の主張だ。今後の日本は労働力が不足するだけでなく、消費者も消費量も減るとの指摘は明解で新鮮だった。

従来から注力してきた鉄道のバリアフリー化をはじめ高齢者にやさしい環境づくりや、子育て世代にとって便利な沿線づくりを一層進めるなど、これからは人口動態をもとにした経営判断が必要になるだろう。