風が吹けば桶屋が儲かる、不況になれば公務員志向が強まる。前者はさておき、不況時の公務員神話が崩れたためしはない。横浜市を例にとると、2010年度の事務系職員(大学卒程度)採用試験の申込者は3606人で、前年度より368人(11.4%)増えた。2007年の1692人と比べると倍以上だ。横浜市も「民間企業の求人が抑えられた影響で公務員志望の学生が増えたことが最大要因」と分析。採用人員は大きく変わらないので、合格倍率は前年度の6.7倍から9.4倍にはね上がった。こんな現象が全国の自治体で起きている。
国家公務員I種。08年に申込者が2万1200人まで落ち込み、公務員離れが定着したかに見えたが、やはり公務員神話は生きていた。それを証明したのが2010年の結果だ。2009年2万2186人、2010年は一気に2万6888人までV字回復。一方で合格者数が1314人(2009年1494人)と大きく減ったため、倍率は20.5倍(同14.9倍)に。合格者の内訳を見ると、女性は272人(同300人)と昨年より減ったが、合格者に占める割合は20.7%(同20.1%)と過去最高を記録した。出身校は国立大学が伝統的に強く1018人(77.5%)、私大265人(20.2%)、公立25人(1.9%)。10人以上の合格者を出した大学は22校(2009年25校)で、「多くの大学から多様な人材を確保したい」という人事院の思惑とは裏腹に集中傾向が進んでいる。