私の会社は向こう1年で規模が2倍になる見込みで、そのため大量の社員を短期間のうちに採用しなくてはなりません。高速で前進しながら採用を正しく行うにはどうすればよいですか。ラース・ダルガード(カリフォルニア州)
採用は通常時でも決してたやすいことではありません。あなたの会社のように急成長しているときには、本当に難しい仕事です。企業は無防備に門戸を開き、大量の人を入れるだけというやり方をしがちです。それを防ぐ1つの方法は、採用の通常のベストプラクティスを敬虔に守ることです。すべての候補者をあなたの会社の中核的価値に照らして判定し、それぞれの候補者に複数回の面接を行い、照会先に問い合わせる場合は、その人物が候補者について語ること、そして語らないことを注意深く聞き取ってください。
大量の人材を採用する必要があるのですから、単純かつ効果的なもう1つの手法もプロセスに加えることをお勧めします。それは「採用打率」です。
求職者に対しては必ず、採用担当マネジャーのほかに、社内の少なくとも3人の人物が面接を行ってください。そして、それぞれの面接官は、面接を終えた時点で「採用」または「不採用」の判定を行います。「どちらとも言えない」という判定は認められません。
採用から6カ月後には、すべての新規採用者がそれぞれの上司から、期待に対してどの程度のパフォーマンスを示してきたかを、つまり期待以下だったか、期待どおりだったか、期待以上だったかを評価されます。十分なデータがそろったところで、それぞれの面接官の「採用」判定を実際のパフォーマンスと比較できるようになります。
たとえば、エミリーというマネジャーが面接を行って10人の求職者にオーケーを出し、6カ月後にそのうちの8人が期待どおりか、それ以上のパフォーマンスを示していたとします。エミリーの採用打率は8割になります。そして、彼女はその素晴らしい打率に応じた褒賞を受けます。
エミリーの同僚のジョンは12人にオーケーを出し、6カ月後に4人しかうまくいっていないとすると、彼の打率は3割3分3厘。野球では素晴らしくても、採用においては低成績です。ジョンは採用担当からは外しましょう。
採用打率には、採用の有効性を高めることに加えて、2つの強力な利点もあります。まず、現在の社員が面接プロセスに全力で参加するようになります。忙しい社員が最もやりたくないことは、玉石混交の求職者と30分も顔を突き合わせていることです。しばらくすると、候補者がどれも皆同じに見え始め、彼らの語ることが皆同じに聞こえ始めます。しかし、自分の下す「判決」に対して、容赦ない数字という形で最終的に責任を負わされることがわかっていれば、面接は単なるおしゃべりから真の会話に変わります。
さらに、採用打率は、採用後には、面接担当者に自分が「採用」という判定を下した人々とより緊密な接触を保つ意欲を持たせ、ときには特別なメンタリング関係を築かせることさえあります。なにしろ、自分が採用と判定した人物のうち成功する者が多いほど、自分の打率が高くなるのですから。