一流の会話は、話題の矢印が必ず相手に向いている

一流の人の会話をひも解くと、必ず会話の主題が相手にあることに気づきます。こんな会話です。

「今日は暑いですね。今日は30℃を超えるそうですよ。夏バテとか平気ですか?」
「今日は本当に暑いですね。ちょっとクーラー効きすぎですかね? 大丈夫ですか?」
「今日は暑さがすごいですね。しかし○○さんって夏男って感じですよね。夏はお好きですか?」

このように話題の矢印を必ず相手に向けて、相手が話しやすいテーマを設定しています。あなたの周りに、「あの人と話していると、気づいたら会話が続いてる~」って思う人、いませんか? もしいれば、ぜひ会話に注目してみてください。必ずテーマがあなたに向いているはずです。

Road to Executive:一流は、相手に焦点を当てることからはじめる
☑相手が話題の中心になるように話を振る

三流は話しかけられるのを待ち、二流は先に話しはじめる

【②ファーストコンタクト】

刑事ドラマを観ていると、捜査官が犯人と交渉するシーンがよく出てきます。このとき、刑事は「質問」を使って交渉を進めていきます。質問することで、回答を引き出し、徐々に犯人を追いつめていくのです。

普通のドラマでも、よく脇役が主人公に向かって、「最近どうよ?」と質問を投げかけるシーンがあります。主人公が質問に答えることで、主人公にスポットライトが当たっていきます。

人間は質問されると答えてしまいます。例えば、「今日のランチは何食べたの?」と聞かれれば、瞬間的に今日のランチのシーンを思い出します。学校の授業では、先生に「2+2は何ですか?」と質問されたら、それに答える。我々は質問されて、それに答える習慣の中で生きています。

一流はこの習慣を明確に理解しています。上手に質問を使って、相手から会話を引き出し、会話をリードしています。実は会話の主導権を握っているのは、話している側ではなく、質問をしている側なのです。

一流は「質問」を使って会話を引き出す

私の前職の上司は、全国ナンバーワンのトップセールスマンでした。その上司と営業で同行したとき、このように必ず先手を取って質問するのです。

「社長、こんにちは! 社長、最近ソファー変えられたんですか?」
「所長、ご無沙汰しております! しかし焼けてますね~? ゴルフですか?」

以前、大手生命保険会社のトップセールスマンと交流会を開催したことがありました。その方は出席者全員に、「いらっしゃい~! 元気?」と必ず声をかけます。質問することで会話の主導権を握っていました。

シリコンバレーの偉大なコーチ、ビル・キャンベルをご存知でしょうか? アップルの元CEOスティーブ・ジョブスやグーグルの元CEOエリック・シュミットの師と言われる方で、『1兆ドルコーチ』(ダイヤモンド社)という本が大変有名になりました。