眠気に慣れたら赤信号!

実は、私たちの大脳は、1週間で眠気に慣れてしまいます。大脳が眠気を感じなくなってしまうことが示された実験があります。

この実験では参加者に、画面にシグナルが出たらできるだけ早くボタンを押すという課題を14日間行ってもらいます。参加者は4つのグループに分けられて、それぞれ夜にベッドに入る時間数が決められています。ベッドに入らず徹夜、4時間、6時間、8時間というグループです。

実験の結果は、どのグループも同じように、日を追うごとに反応が鈍く、誤りが多くなっていく傾向が見られました。徹夜グループが最も成績の悪化が激しく、睡眠時間が長いほど成績の悪化が緩やかでした。このことから、睡眠時間が長いほどミスが少ないということが示されました。「それはそうだろう」と思いますよね。睡眠不足になれば、課題の成績が悪くなる、ということは想像しやすいと思います。

この実験で興味深いのは、課題を行ったときに「どのくらい眠いか」という眠気の度合いを答えてもらったことです。その結果は、徹夜グループは課題開始から1日目、2日目、3日目と日を追うごとに眠気が増していきました。しかし、4時間以上眠っているグループは、最初の1週間は眠気が強くなっていくのですが、それ以降は眠気の強さは一定になりました。

これは、パフォーマンスは低下しているのに大脳が眠気に慣れてしまい、それ以上睡眠が削られないと眠気を感じなくなっているということです。

仕事の繁忙期などで、1週間くらい毎日就寝が1時間遅れることは誰しも経験があると思います。その忙しい時期が終わったときのことを思い出してみてください。もう忙しくないはずなのに、帰宅後に時間に余裕がある感じがして、同じ時間まで起きているという行動をとったのではないでしょうか。

夜になっても眠気を感じない場合は

大脳は、省エネ戦略として行動をパターン化しますが、これが裏目に出ると、余裕があっても就寝が遅くなるのがパターン化されてしまいます。

大脳は眠気に慣れてしまっても、何らかの眠気のサインを出しています。目の奥が重くなる、テレビの音がうるさく感じる、唾液がサラサラになる、同じことをぐるぐる考える、体がかゆくなるなど、些細なサインを見つけて、そのサインが出たら脳が眠いのだと意識してみましょう。

眠気のサインを自己認識しつつ、朝は目覚めたら窓から1m以内で日の光を浴び、夕方には体を動かして深部体温を上げることを実行してみると、2週間程度であくびが出る日が多くなります。さらに、次の2週間ではあくびが出る日が増えていきます。こうなれば、眠くなったら就寝するということができるようになります。