“扇の要”になった中小企業再生支援協議会

協議会方式で他の例としては、中小企業再生支援協議会がある。中小企業再生支援協議会は、産業再生機構の地方版と言われ、2003年に各都道府県に設立された。当時は産業再生法を法律の根拠とし、5年間の時限立法だったが、現在も事業は続いている。

日本の伝統的なファン
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運営母体は各都道府県の商工会議所や都道府県の中小企業振興センターが主である。サービスデザイン推進協議会のように、協議会そのものは法人格を持たない。

協議会には支援業務責任者を中心に専門家(中小企業診断士、弁護士、公認会計士、税理士等)がチームを構成し、中小企業の再生支援に取り組む。協議会の構成メンバーとしては、商工会議所だけでなく、各経済団体や地域金融機関、信用保証協会が入り、地域が一丸となって中小企業の再生支援を実施する。

つまり、協議会が扇の要となり、支援業務責任者が案件を切り盛りするが、地域ぐるみで中小企業の再生に取り組むのである。

事業の是非はともかく、地域全体を巻き込んで、ということが協議会方式の特徴であることはご理解いただけたことと思う。地域だけでなく、産業全体の場合もあり得る。

持続化給付金問題をめぐる5つの論点

それでは、今回の持続化給付金事務事業は、具体的にどこに問題があるのか。それは以下の5つに整理できる。

1)サービスデザイン推進協議会から電通へ大半が再委託している

持続化給付金事務事業の場合、サービスデザイン推進協議会から電通へほとんど再委託している。経済産業省からサービスデザイン推進協議会に769億円で委託し、同協議会が電通に749億円で再委託したと報じられている。委託事業で再委託はあり得るが、このケースの場合、協議会を介する必要性がそもそもあるのかが疑問である。

2)資金の目的外利用はないのか

サービスデザイン推進協議会から電通へほとんど再委託していることから、資金の目的外利用はないのか、チェックする必要がある。ないことが当然であるが、あった場合には、事業資金の返還対応が必要となる。

経済産業省は、持続化給付金事務の事業費が適切に執行されているかを外部の有識者と6月中にも中間検査するとしているが、通常は経済産業省の担当者が事業実施後に検査するものであるので、異例の対応である。

3)入札手続きが適正だったのか

入札に参加したのはサービスデザイン推進協議会とデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社の2社とされている。入札調書では、サービスデザイン推進協議会は「C」評価であるのに、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社は「A」評価だった。

しかし、落札したのはサービスデザイン推進協議会であり、最初からサービスデザイン推進協議会ありきで進められていたのではないかとの疑問がある。評価が低いのに落札した理由は、経済産業省側に説明責任があるだろう。