初の労災認定となった2009年5月の東京地裁判決

部下からの中傷が原因で上司がうつ病になり、その結果自殺したのは労災にあたる――これは2009年5月の東京地裁の判決です。過去には上司から部下へのいじめがパワーハラスメントとして労災認定や訴訟につながった事例はありますが、部下のいじめによる「上司」のダメージが労災と認められたのは、これが初めてです。

事の発端は、飲食会社で料理長を務める男性(上司)について、部下が「社員食堂の食券を再利用して差額を着服した」「セクハラをした」などと書いた中傷ビラを、会社の上層部に送りつけたことでした。さらにその後の会社の対応が、本来は被害者である上司側に心理的な圧迫を与えたため、うつ病から自殺へと至ったものです。

図:今年度から、労災認定の基準が緩やかになった
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図:今年度から、労災認定の基準が緩やかになった

厚生労働省の調査でも、職場のいじめ、嫌がらせが年々増加しているのは明らかですし、景気悪化とそれによる雇用不安で働く人たちは心の余裕を失っています。

(構成=石田純子)