② 変化に柔軟に対応する組織を構築する

第2の企業基盤の進化は、「変化に柔軟に対応する組織を構築する」ことだ。従来の組織は、企業が規模の利益を追求する中、効率を重視し、必要な機能ごとに細分化を図り、設計されてきた。しかしながら、現在の構造変化は横波のように、細分化された縦割り組織に押し寄せ、硬直的な組織は機能不全に陥っている。

対症療法的な組織変更は、急速な環境変化の中では、すぐに陳腐化する。企業にとって、予測不能な変化に対応する新たな組織のあり方を構築することが急務だ。その中で、AIに代表されるマシンと人の協業を促進する仕組みも必要になる。加えて、特定のスキルを保有している人は、もはや同一の組織に硬直的に所属するよりも、スキルを活かせる機会を柔軟に捉えることを欲している。今後、企業が組織力を高めるためには、こうした人々の意識変化への対応もカギになる。

「アジャイル・オーガニゼーション(柔軟な組織)」の「アジャイル」とは、もともとシステム開発の手法だが、変化に迅速かつ柔軟に対応し、成果を出す組織の構築に応用されている。高度成長期の日本企業は、「顔が見える」組織を作り、ミドルによるインフォーマルな横連携を1つの強みにしていた。また、今日でも「機能横断(クロス・ファンクション)」を標榜した部門代表の集合会議は盛んに実施されている。

しかしながら、かつての強みを取り戻し、素早く変化できる組織に生まれ変わるには、提供したい価値を基点に、組織や意思決定構造をシンプルに再設計し、企業のあらゆる側面を見直す必要がある。こうした変革をつうじた全社的なアジャイル・オーガニゼーションの実現には、主要な役員全員の覚悟とやる気が求められる。

③ ダイナミックな全社変革を実現する

第3の進化の方向性は、「ダイナミックな全社変革を実現する」ことだ。構造変化に直面する中、過去に大きな実績を上げてきた多くの大企業が機能不全に苦しんでいる。もはや改善の積み上げでは、根本的な解決には至らず、これら大企業は「生まれ変わる」覚悟で全社変革に取り組む必要がある。全社変革が達成できなければ、既存大企業は、時代に即した新興企業にとって代わられてもやむを得ない。

その一方で大企業は、既存事業もある中、新旧事業の両立、旧ビジネスモデルから新モデルへの移行、異なる特性を持つ事業ポートフォリオの運営等の複雑性と向き合いながら、全社改革を進めていく必要がある。明確なアプローチがない、言い換えれば設計図のない改革は、結果的に大きな混乱を招き、組織の自滅を招く危険性すらある。

全社改革アプローチの1つの手法は「デジタル・トランスフォーメーション」だ。この設計図は、デジタルを活用し、効率化を図ることにとどまらず、事業のあり方自体を大きく進化させることを意図して策定すべきだ。既存企業は継続的な変革を通じ、既存アセットとデジタルやデータを有機的に結びつけて高度な価値を提供する企業へと進化することで、既存企業ならではの優位性を築ける可能性がある。