早慶のウラその2「労働否定集団、だめ連の末路」

次に紹介するのは早稲田「だめ連」の今だ。「だめ連」とは、普通の人のように働かない(働けない)者たちが、だめな人がだめをこじらせないことを目的に集い、イベントなどを開催している集団だ。当時はバブル崩壊という社会の転換期でもあり、彼らの思想はテレビからも脚光を浴びた。高学歴でありながら自ら働かない選択をした彼らは、今をどう生きているのか。創設者のひとり、ペペ長谷川氏(53)が今を語る。

今? 幸せっちゃ幸せだけど、キビシイっちゃキビシイ。働かないで生きるって自分で決めたわけだけど、実際問題、それでは死んじゃうから、結局のところバイト生活。週に1回飲食店、バーテンとヘルパーを月に2回ずつ。あとは日払いのバイトをポツポツとして月に10万円弱の収入。風呂なし共同トイレのアパートで家賃は3万5000円。風呂は近所の銭湯に週1からって感じ。なんとかなってはいるけども、基本的には口座を見るたびに、「キビシイ!」って思うような経済状況です。

「早朝に両目開けるのはキツい。だから、最近は片目ずつ開けることにしている」
「早朝に両目開けるのはキツい。だから、最近は片目ずつ開けることにしている」(撮影=nen)

自分の何が「だめ」だったかというと、まず大学に7年間も通っちゃった。その間何をしていたのかと聞かれてもそれも困っちゃう。ノンセクト系の左翼運動をずっとしていたけど、授業はサボりまくっていたし、ただズルズルと7年間。まず受験勉強のときから、「これ意味あんのかな」と思っていたから、在学中もなんだかよくわからねえ。そもそも、自分がいたのは第二文学部っていうよくわからねえ学部だし。

大学を出てからはいちども就職してません。というか、就活すらしていない。「だめ」なのならしょうがないじゃんってことで、無理して頑張ってサラリーマンになることはないって思想もあるんだけど、正直それだけじゃない。自分ではもう気が付いているけど、ただ単に働きたくなかっただけで、その言い訳をしているだけなんじゃないかっていう。後付けの理屈で活動ってことにしてグジュグジュ言っていただけなんじゃないかっていうね。ぶっちゃけ、こっちのほうが濃厚かもしれない。でも今の生活でも「幸せだ」と感じる瞬間は多々あるわけで、結局何が正解だったかなんてわかりゃしない。

しかし、第二文学部を出て、好きな仕事して金を稼いでいる奴もいる。自分も素直に就職すればよかったんじゃないかって思うこともそりゃある。

でも自分みたいにかなり低い水準でやっている奴が周りに結構いるもんだから、ここまでこれたって気もする。かといって、ずっとこのままでいたいというわけでもない。そりゃ、金はあったほうがいいからね。ホームレスやっている知人を見ると、立派なもんだなとは思うけど、今のところ自分はそこまでは……って感じだよね。せめて、ショボい部屋くらいはほしい。明日は朝5時に起きてバイトに行くわけだけど、これじゃ、サラリーマンのほうが楽なんじゃないか……?

この世界は、ちゃんと働くとなったら問答無用で週5日っていうのがかなりキビシイ。週3日でもOKな世の中なら、今働けていない人ももっと働くようになるかもしれないと思うんだけど、どうだろうか。

だめ連とは1992年、早稲田大学の同期生であった神長恒一とペペ長谷川が結成した集団。共著書に、『だめ連の働かないで生きるには?!』(筑摩書房)など。