とはいえ、それでも高給企業に就職できる学生がいるのも事実。そこでプレジデント誌は、大学通信のデータをもとに各大学の卒業生を分類。平均年収1000万円超企業に就職した人数を割り出し、その割合を算出してランキング化した。

それによると、1位から5位までは、ほぼ国立大が占めた。毎年の常連校といっていいが、順位には変動が見られる。

トップの一橋大は前年は2位。前年1位の京都大は5位に転落した。昨年3位だった慶應大は2位にワンランクアップ。私大唯一の健闘が光っている。

注目すべき点は「確率」だ。就職者全体数から高給企業に就職した人数で算出したものだが、2009年は(1)京都大(15.8%)、(2)一橋大(13.1%)と、10%超えが2校あったのに対し、2010年はトップの一橋大でさえ9.1%。ここからも環境の厳しさを垣間見られるといえる。

ところで、上位校にヒミツはあるのか。今回トップに立った一橋大側はこう語る。

「授業として5月から8月にインターンシップを取り上げ、10月初めに業界説明会を開催。続いて4カ月間毎週実施する約400社の会社説明会には延べ2万人の学生が参加する。就職する学生は約700人で、1人平均30社の企業研究に参加している」(一橋大企画・広報室)

また、等身大の将来の自分の姿を実感するため、OB・OG訪問を推奨するなど、就職支援の体制は万全といえそうだ。

地方からの健闘も光る。小樽商科大の大矢繁夫教育担当副学長は語る。

「大きな特徴は、学内で企業セミナーを行っている点や『緑丘会』という同窓会組織の結束力が挙げられるでしょう」

各地で開かれる合同説明会とは違い、大学のキャリア支援課主導で学内で開催されるもの。前回セミナーの参加企業は延べ300社。卒業生の6割が東京や大阪の企業に就職する。同窓会は全国に28支部が設置され、小規模校ならではの結束力をいかんなく発揮。年代を超えた交流、情報交換が盛んだという。

(ライヴ・アート=図版作成)