また私の別の調査によれば、勉強の好き嫌いと食生活にはかなり相関がある。この傾向は、特に女性に顕著に表れる。勉強が嫌いな女性は、「よく食べるものは何ですか」という問いに対して「カップ麺」「ハンバーガー」「フライドポテト」などと答える。ところが勉強好きな女性は、「野菜」「豆腐」「果物」「納豆」「海草」などを挙げる。これこそ、階層格差ならぬ「海草格差」なのだ。

このことに気づいた私は、1年ほど前からなるべく原型をとどめた食品を食べ、ダイエットにも励んだ。新潟出身のせいか煎餅や柿の種などの米菓が大好きな私だが、間食は一切やめた。

その代わり、始めたのが「芋ダイエット」である。ジャガイモをつぶして油で揚げたスナック菓子風のものをつくる。ジャガイモを茹でて食べても、100キロカロリー程度。そのわりに満腹感があるので間食が減り、1年で5キロの減量に成功した。

「いちいちジャガイモを茹でるヒマなんかない」と思うかもしれない。しかし、この不況で仕事が減ったのではないか?

残業が減れば収入は少なくなるが、自由に使える時間は増える。そんなときこそ、下流太りから脱出のチャンスだ。

いま流行の節約のために自分で弁当をつくって会社に持参する「弁当男子」を見習い、メタボ父さんも台所に立ってみればいい。コーヒーだって、1缶あたりスティックシュガー7本分の糖分が入っている缶コーヒーを飲むより、100グラム3000円の豆を自分でひいて25回味わうコーヒーのほうがどれだけうまいか。1回当たり120円だから、変わらない。そう思えばこの不況もまんざら悪いばかりでもないはずだ。メタボ脱出の鍵は、ちょっとした頭の使い方なのだ。

(長山清子=構成 的野弘路=撮影)