日本経済が気息奄々といった状態にあるにもかかわらず元気な企業がある。ユニクロ、マクドナルドが代表だが、DVD・CDレンタル、販売のTSUTAYA事業を擁するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)もそうだ。昨年4月から9月期の純利益は前年の同期に比べて74%増、四半期でも54%という驚異的な伸び率だった。いわゆる「巣ごもり消費」の人々をひきつけているからなのか。増田宗昭社長に「不況のなかでもモノを売る」戦略、戦術を聞いた。
「うちにとってはフォローの風が吹いています。昨年1年間のDVD・CDレンタル回数は5億8000万回。金融危機の年にもかかわらず過去最高でした。それはやはり『巣ごもり』のおかげでしょう。外食に出かけていたのを控えてコンビニで弁当を買って、うちで食べるわけですから。そんな不景気な時代にはTSUTAYAの役割は大きいと思います。
さて、私自身はマスコミが評するほど日本経済が悲観的な状態にあるとは考えていません。今の不況はあえて言えば心理的不況です。例えば、『円高で不況になった』という論調があります。輸出企業にとってみれば円高が進むと利益は減る。ですが、輸入企業にとってみれば円高はフォローです。そして統計を見ると、日本の輸入額と輸出額はどちらも約80兆円と拮抗している。輸出企業は苦しいけれど、輸入企業は利益を挙げている。ただ、輸出企業には自動車、家電といった一部上場の大企業ばかりが並んでおり、そうした企業の決算が軒並み赤字になったから、マスコミは『さあ大変だ』とはやし立てるのでしょう。消費者が巣ごもりしているのはそうした不況感を感じているからなんです」
心理的に不況を感じている消費者に対してはどうやってモノを売ればいいのか。
「今は誰もが指針を求めているんじゃないかな。これまではアメリカが先導する金融資本主義についていけばそれでよかった。ところがアメリカの金融業が総崩れになってしまい、金融資本主義に対する信頼が低下した。では、次に求める価値はいったい何なのだろうかと、みんな逡巡しているんです。
そんな時代に結果を出しているのは『顧客価値』を追求している企業。例えばユニクロであり、マクドナルドがそう。