「隠れた感染者がいる」という見立てに根拠はなし
ではその後、日本の感染者数は世界に比べてどのように推移したのか。報道によると、3月21日時点で中国では8万人を超え、イタリアは約4万7000人、スペインが約2万人、そして韓国は8800人だ。日本はというと、1015人(クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗船者を除く)だ。これは「PCR検査を実施していないから」と言われているが、では死者数を見るとどうだろうか。
イタリアが4000人を超え、中国が約3200人。そして韓国も100人を超えた。一方で日本はクルーズ船を除いて35人だ。人口比でみるとG7諸国の中でも圧倒的に少ない。これは日本政府が、何よりも医療の崩壊を防ぐことを第一にした結果ではないか。
都公衆衛生医の垣本烈氏はプレジデント2020年4月3日号で日本のコロナへの対応や感染状況について「検査態勢の不備は確かにあるものの、判明した患者数を遥かに上回る莫大な感染者が既に偏在している、といった扇情的な物言いには根拠がない」と述べている。
感染防止キャンペーンの偉大な勝利と言うべきだ
実は今年度は季節性インフルエンザの大流行が予想されていたのだが、1月下旬には報告数が減り始めていたという。
「新型コロナウイルスがマスコミの話題をさらい、予防のためにマスクや手洗いが励行され始めたのと並行して、例年なら激増するはずの季節性インフルエンザは(年を明けてから)減少に転じた。(中略)これは感染防止キャンペーンの偉大な勝利と言うべきだろう」
さらに、こう付け加えた。
「この無視されている事実は、今後の見通しを明るくする。(中略)新型コロナウイルスの感染様式はインフルエンザと同じであり、普通に考えればコロナウイルスの感染も、こうした手洗いや各種の感染防止措置励行によってかなり抑え込まれているはずだ。季節性インフルエンザをこれだけ抑え込めている以上、日本の最終的な被害は各国に比べて小さくなるだろうと考える。それは、執拗に手洗いなどの感染防止措置を実施した国民一人一人の努力の結果だ」