ソフトバンクモバイルより7月11日に発売されたiPhone 3G。同社の2008年7月の加入者純増者数は21万5400となり、前月の15万8900から大幅に増加。この一因に、iPhone 3Gがあると考えられる。
同社ユーザーの買い替えも含めて、iPhone 3Gは7月に少なくとも10万台以上は売れたと我々は見ている。ただし、今後も爆発的に売れ続け、同社の収益に大きく貢献するという判断は早計ではなかろうか。理由は3つある。
1つは、iPhone 3Gを主端末とするには敷居が高いと思われる点だ。文字入力・漢字変換が不便であることや、おサイフケータイ機能が使えない点など、従来携帯端末を捨て去るにはそれ相応の覚悟がいるだろう。一方、「2台目需要」にしては、月額料金が高い。
同社は、8月より「パケット定額フル」の料金をパケット利用量に応じて2段階の定額制とすることを発表。これまでiPhone 3Gを契約すると最低でも7280円の月額料金がかかっていた。改定後の最低料金は2990円となる。
アプリケーションを複数追加できるインターネット端末としての魅力を、いかにミドル/ローエンドユーザーに訴求できるかが、普及の鍵となろう。
第2に、同社にはネットワークへの負荷の問題がのしかかる。iPhone 3Gユーザーの1人あたりのトラフィック(通信)量は、一般ユーザーの10~20倍とも言われている。だが、第1四半期の結果を見ると、他社に比べて設備投資額が圧倒的に少ない。基地局容量増設を行うとその分、利益を圧迫する。
3つ目の理由は、端末助成金である。iPhone 3G(8G)の端末価格は7万円弱であるが、特別割引として月額1920円が通信料から割り引かれ、実質2万3000円程度で購入できる(2年割賦では月額実質960円の負担)。2段階定額制の上限まで利用した場合の月額通信料金(通話料は除く)は、他社比1500円程度高い。しかし、同社は一方で月額の特別割引(端末助成金)をユーザーに返していかなければならない。
同社に続いて、NTTドコモ、KDDIも携帯電話端末の割賦販売を始めた。その結果、今年度第1四半期の携帯電話販売台数は各社とも前年同期に比べて約2割減少している。