2008年4月からメタボこと、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)をターゲットにした、いわゆる「メタボ健診」がスタートしている。
新健診では、腹囲測定、悪玉といわれるLDLコレステロールの検査が義務づけられている。そして、異常が発見されると保健指導の実施が保険者に課される。
その注目のメタボとは、内臓脂肪の蓄積と、それを基盤にしたインスリン抵抗性および糖代謝異常、脂質代謝異常、高血圧を複数合併するマルチプルリスクファクター症候群で、動脈硬化になりやすい病態を指す。
内臓脂肪肥満をベースに、糖尿病、高血圧、高脂血症を合併しているのだが、高尿酸血症も内臓脂肪肥満に伴う生活習慣病で、それらと同じように注意すべき疾患なのである。
高尿酸血症は、正確には血液検査での尿酸値が7.0mg/dlを超えた状態をいう。痛風や尿路結石症の危険因子で、予備軍をも含めると高尿酸血症の人は700万人といわれている。
尿酸が増えるのにはプリン体が大きく関係している。食べ物から摂取したり、体内で合成されたりするプリン体は、細胞の核に含まれている核酸を構成する成分のひとつ。プリン体はいくつかの段階を経て、最後に肝臓で代謝されて尿酸になる。尿酸はプリン体の“老廃物”ともいえる。
その尿酸の産生が多かったり、排泄が悪かったりすると、体内の尿酸蓄積が増える。これが高尿酸血症である。
この先に激痛の発作を引き起こす痛風があるものの、高尿酸血症の段階では痛くも痒くもない。だから、「尿酸値が少し高いですよ」と言われても、人は、その言葉を右から左に受け流してしまう。
だが、内臓脂肪肥満がベースにある人には、そのほかにも高血圧や高脂血症、糖尿病などのいくつかを合併している人が多い。すると、動脈硬化を促進し、血管病である心筋梗塞や脳卒中に結びついてしまう。
「尿酸値が高い」と言われたときには、それを素直に受け止め、ライフスタイルの改善に取り組むのが大事である。
生活療法では食事、飲酒、運動が3本柱。それで効果がなく、8.0mg/dl以上の場合は薬物治療が考慮される。
「高尿酸血症は痛風の予備軍。治療は痛風になってから考えればいい」と思っている人が多いようである。痛風発作は尿酸値が10.0mg/dlを超えても起きない人もいれば、8.0mg/dl程度で起きる人もいる。対応は早いに越したことはない。高尿酸血症と言われたら、即対応すると、薬物治療は必要がないばかりか、ほかの合併症も改善できると思われる。
食生活のワンポイント
高尿酸血症の頻度は、肥満度を示すBMI(体重kg÷身長mの2乗)が高いほど多いことがわかっている。事実、減量は尿酸値を下げるという研究報告が数多く発表されている。
食生活では、以下の8点をしっかり行うと、肥満も解消し、尿酸値も低下する。
・1日3食、決まった時間に食べるようにしよう。
・食事の量は腹八分に。
・水分は十分に摂取。水とお茶で1日2リットルは飲むようにしよう。
・飲み会などは極力減らすようにしよう。
・お酒はビールはダメ、ウイスキーは大丈夫というのではなく、アルコール自体が尿酸値を上げるので、お酒は1合までと決めよう。
・早食い、ドカ食いは禁止。ゆっくり、よくかんで食べる。
・プリン体の多い食べ物、少ない食べ物と考えるよりも、バランスのいい食事を心がけるようにしよう。1日30品目を摂るようにすると、自然とバランスのいい食生活になっているはず。
・夜の9時以降は食事をしない。仕事の関係で無理な人は、眠る2時間前までに食事はすませる。