いまどきの部下たちは、いったいどのような上司を慕うのか。Yahoo!リサーチの協力により実施したアンケート「上司にしたい有名人、したくない有名人」※の調査結果をもとに、理想/最悪の上司像を浮き彫りにしてみよう。

※Yahoo!リサーチの協力により、東証一部上場企業の勤務者という条件を満たす人を対象に、インターネットを通じて調査を行った。調査期間は2008年10月6~7日。「上司(30歳以上の課長級以上)」100人(うち男性99.0%)、「部下(係長級以下)」100人(うち男性71.0%)から回答を得た。

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理想の上司を有名人に例えると?

理想の上司1位は、テレビでお馴染みの所ジョージ氏。肩の力の抜け具合が支持されて各種の好感度ランキングの常連になっているが、今回も「話を聞いてくれそう」「明るく仕事を進められそうだから」と、親しみやすさを高く評価する声が多かった。

注目したいのは、「仕事を任せてくれて、相談にも乗ってくれる気がする」「基本的に部下任せで、問題が起きれば最後は責任を取ってくれる」という支持理由。上司は部下が心配だからあれこれと口を挟むが、部下にしてみれば、チェックが厳しいのは自分を信頼していない証拠。部下に積極的に裁量を与えて、自分は一歩引いて見守るというのが部下に好かれるコツだろう。

2位に入ったのは、今季限りでソフトバンク・ホークス監督を勇退した王貞治氏。ソフトバンクは今シーズン最下位という不名誉な成績で、上位に支持されたのは少々意外な気もするが、今夏に星野仙一氏率いる日本代表チームが北京五輪で惨敗したことで、第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)優勝の手腕が改めて評価されたのだろう。

その第1回WBCでは、普段はクールでマイペースな印象のあるイチローが、率先してチームに溶け込みベンチを盛り上げた。ともすれば空中分解しかねない個性派集団をうまくまとめあげた王監督のカリスマ性と統率力は、さすがの一言。アンケートを見ても、「志が高くて指導力がある」「的確な判断力がある」「公平だから」と、リーダーとして欠かせない素養を理由にあげていた人が多かった。

3位は同数で、北野武氏とタモリ氏がランクイン。北野武氏は、世界的な映画監督として活躍するほか、テレビでは数学バラエティで難問を解いたり、ニュースショーで時事問題に切り込むなど、マルチな才能を発揮。ときおり見せる鋭い表情が、「厳しいところは厳しく、楽しいときは楽しませてくれそう」という評価につながっているのだろう。一方のタモリ氏は、言わずと知れたお昼のテレビの顔。毎回タイプの違うゲストが来ても、慌てることなくトークを盛り上げる安定感はピカイチだ。「状況判断がうまく、的確な指示を仰げそう」「納得できる形で適切な方法を指導してくれそう」という声があがったのも頷ける。

今回は所ジョージ氏、北野武氏、タモリ氏と、上位にお笑い出身の有名人が並んだ。ただ、気軽さや親しみやすささえあればいいと勘違いしてはいけない。三氏に共通しているのは、ある種のクレバーさだ。くだけた雰囲気を演出する一方で、知性を感じさせるコミュニケーションができるかどうか。それが部下から見た理想の上司の条件の1つだ。