プロ転向2年目の18歳で史上最年少の賞金王になった石川遼。2010年は残念ながらランキング3位に終わったが、それでも獲得賞金は1億5000万円を超える。賞金以外にもパナソニックとの所属契約やヨネックスとの用具契約をはじめ、日本を代表する大企業とのスポンサー契約、CM契約の収入は総額30億円以上といわれている。

親の生涯賃金をいとも簡単に稼ぎ出すスーパープロアスリートだが、正味は未成年である。民法は「親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する」(824条)とある。未成年が財産を所有することは可能だが、その財産管理権は、法定代理人である親が有しているため、未成年の一存で使うことは必ずしもできない。

未成年者は契約の場面でも親の同意が大きな意味合いを持つ。

石川遼(19歳)のこれまでの収入

石川遼(19歳)のこれまでの収入

「未成年が単独で行った法律行為、たとえば契約などは後から取り消しできるというのが日本の法律の原則。相手の言うがままに契約して不利益を被るようなケースがありますから。従って未成年者と契約する場合は、法定代理人である親の同意を取っておくのが基本です」

スポーツやエンターテインメント分野のビジネス慣習にも詳しい升本喜郎弁護士はこう語る。

プロ野球やプロサッカーで未成年者が球団やクラブと契約する際の統一契約書には、法定代理人の署名欄があるという。必ず親のサインやハンコをもらうのである。エンターテインメントの世界でも、大手芸能プロダクションは未成年者とマネジメント契約を結ぶ場合に署名捺印などで親の同意を得て、契約関係が不安定にならないように工夫しているという。

では未成年者のスポーツ選手やタレントの収入はどう管理されているのだろうか。

「スポーツ選手でもタレントでもメジャーな存在になっている人は、個人のマネジメント会社をつくって、親が会社の代表として財産管理しているのが一般的です。契約金やCM収入などはとりあえずマネジメント会社に入れて、お小遣いレベルかもしれませんが、当人の取り分は会社経由で渡す。個人的なギャラ、プロゴルファーなら賞金です。これは個人に支払われると思いますが、その銀行口座もマネジメント会社や親が管理しているケースが多いのでは」(同)