親亡き後、無収入の子供部屋おばさんはどうなるのか
【大人になっても子供部屋に住み続ける“無収入”な人がすべきこと】
その3 社会的制度についての話し合い
この国で生きるために必要経費となるものに税金や社会保険料などの支払いがある。これは、通常一人暮らしをしたり、結婚したりして親から独立すれば、自然と身に付く知識だが、親と子供が同居し、収入がない状態だと、これらの知識がすっぽりと抜け落ちてしまうことが少なくない。
例えば、健康保険や介護保険、または火災保険などのわが家の保険事情。子供自身の年金支給予想額。源泉徴収票や所得証明書などの存在。さらには所得税や市民税などの税金……。
学校などでは詳しく教えないため、これらの存在を知らない「子供部屋おじさん・おばさん」も多い。よって、世の中のしくみとして、現実の「社会制度」を知らせることが必要となる。親亡き後は、これら行政手続きの一切を自分でやらなければならないという事実を周知しておくべきである。
【大人になっても子供部屋に住み続ける“無収入”な人がすべきこと】
その4 生活力をつける話し合い
先述した恵子さんの場合、家事も料理もすべて母親が担当している。ゴミ出しも母親だ。恵子さんは気が向いたときに皿洗いをする程度。そのため、恵子さんはゴミの分別収集日を把握していない。恵子さんの町では資源ごみ回収当番が回ってくるが、恵子さんはその当番もしたことがないそうだ。
また、自治会がどのような活動をしているか、回覧板をどこに回すのか、これまで一度も気にしたことがないので、わからないと言う。今は親が元気なので、全く問題はないが、ある日、突然、親がその任務をできなくなる日が来る。
ゴミの分別収集のノウハウは意外と覚えるのが難しく、このハードルが越えられないばかりに“ゴミ屋敷”化する家も散見される。よって、同居する家族の誰もが地域で暮らすにあたり最低限の知識を押さえておきたいところだ。
【大人になっても子供部屋に住み続ける“無収入”な人がすべきこと】
その5 SOSを出せる力を養う
「収入が心もとない子供」と同居を続ける親御さんと話をする時に必ず出る言葉がこれだ。「私が死んだら、この子はどうなるのか」。中高年のひきこもりの子供を持つ家庭と同じ悩み、「一人で生きていける力が危うい」という不安感を抱いている。
親としては、子供にSOSを発信する先を事前に教えておく必要がある。地元の自治体はもちろん、社会福祉協議会、地域包括支援センター〔これは主に高齢者(親)の介護のため〕、その問題に特化したNPO法人、家族会、近所の人、医療関係者など、あらゆる場所に相談を持ち掛けていくことで、孤立を防ぐことを教える。いわば、リスクマネジメントである。