値下がりしそうな財産は配偶者が相続したほうがトク

また、パートナーに相続させる財産と、子どもに相続させる財産をどのように分けるかによっても相続税の金額は違ってきます。

2回目の相続を考えると、今の評価額は同じでも、今後値下がりしそうな財産は配偶者が、今後値上がりしそうな財産は子どもが相続したほうがトクです。

こうすることで、パートナーが相続した財産は2回目の相続のときに、値下がりした分だけ税金が安くてすみますし、値上がりした財産を相続することもなくなりますから、税金のムダを省くことができるのです。

今は同じ価値でも、将来の価値は違う。

このことを考えながら、どうやって遺産を分けるかを考えるのも、ムダを省くためには重要です。

さらには、1回目の相続で毎月家賃が入ってくるようなアパートをみなさんが相続すると、2回目の相続のとき、みなさんが受け取る家賃収入の分だけお子さんの相続財産が増えてしまいますから、お金を稼ぐ財産は子どもに相続させることによって、2回目の相続で相続する財産を増やさないような対策をすることが大切です。

このようなテクニックを使って、2回目の相続のムダを省くことが相続ではとても重要になってきます。

パートナーと子どもが相続する財産をいかに振り分けるかは、とても大事な問題なのです。

1人までなら養子をとることで相続税対策になる

相続税の基礎控除は、法定相続人が多いほど多くなります。

「うちは子どもが1人しかいなくて基礎控除が少ないから、相続税がかかってしまう」
「あと1人子どもがいれば、相続税はかからなかったのに……」

このような嘆きを相談者から受けることがあります。

相続する財産の額が同じでも、相続人の数によって相続税の金額が変わってしまうとなると悩みますよね。

もちろん、相続人は法律で定められていますから、簡単には増やすことができません。しかし、気持ちとしては1人でも増やしたいところですよね。

実は、実子(実の子ども)だけでなく、養子も法定相続人になることができるのをご存じでしょうか。そこで昔から、お孫さんを養子にするということが、相続税対策の1つとして行われています。

それなら、うちには孫が6人いるから、6人養子にすれば6人分基礎控除が増えるのでは、と思うかもしれませんが、残念ながら、法律上は養子は何人でもとれるのですが、相続税の計算上は、実の子どもがいる場合、法定相続人として計算できる養子は1人までとなっています(ちなみに、実の子どもがいない場合は2人までです)。

つまり、何人養子をとっても1人分しか基礎控除は増えないというわけです。