字が下手で恥ずかしい。でもハガキの宛名や冠婚葬祭の署名は手書きするしかない。どうすればいいか。書道家の岡部修一・省三両氏は、「人は文字を目で追うのではなく、全体を“絵”のようにとらえている。文字の配置や周囲の余白に気を付ければ、字は上手く見える」という――。
※本稿は、岡部 修一・岡部 省三『理系の書道家が科学の視点で考えた、誰でも字がうまくなるすごい方法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
人は宛名全体を絵画のようにとらえている
四角い紙や枠の中といった「決まった形」の中に文字があると、人はまず、文字を目で追うのではなく、全体を「絵」のようにとらえ、美しいか否かの先入観をもって読み始めます。つまり、人は最初に「文字の配置」や「周囲の余白」などを感じ取るものなのです。
ここでは、文字の「配置」と「余白」の問題点がよく表れる封筒(はがき)の表書きの実例を用い、簡単に説明しますが、ふだんなかなか「手書き」をする機会がない方が、いざ「手書き」する状況になったときの、ちょっとした知恵になるはずです。
まず、絵画を思い浮かべてください。ふつうは額縁に入れますよね。額縁までが「絵画」だからです。これと同じ見方で、封筒(はがき)も、表書きの部分に「周囲の余白」をどう意識して残すかが大切になります。そのために必要なのは、「書く順番」「文字の大きさ」「文字の間隔」です。実例と共に、その考え方を解説しましょう。
●最初に「宛名」を、封筒(はがき)の中央に大きな文字で、間隔も大きめに書く。宛名の下限が住所の下限の目安となる。
●次に書く「住所」は、宛名の下限までの長さに1行で書けそうなら(実例左)、宛名の中心と封筒(はがき)の右端のちょうど真ん中に、中くらいの文字で詰めて書く。もし住所の文字数が多くて1行にならなそうなら(実例右)、宛名の中心と封筒(はがき)の右端のちょうど真ん中に仮想の中心線をイメージし、その両側に2行で書く。
●住所右側の余白が大切。これはいつも意識する。
●会社名・役職名などを書く場合、宛名の右側に小さな文字で詰めて書く。
●余白のほか、「漢字は大きめ」「仮名は小さめ」を意識すると、もっと字がうまく見える。
●次に書く「住所」は、宛名の下限までの長さに1行で書けそうなら(実例左)、宛名の中心と封筒(はがき)の右端のちょうど真ん中に、中くらいの文字で詰めて書く。もし住所の文字数が多くて1行にならなそうなら(実例右)、宛名の中心と封筒(はがき)の右端のちょうど真ん中に仮想の中心線をイメージし、その両側に2行で書く。
●住所右側の余白が大切。これはいつも意識する。
●会社名・役職名などを書く場合、宛名の右側に小さな文字で詰めて書く。
●余白のほか、「漢字は大きめ」「仮名は小さめ」を意識すると、もっと字がうまく見える。