私たちは医師に質問していい!

「前項①の『手術前検査』は、ほとんどの人にとって、眼科の手術では必要ありません。一見、手術前には検査したほうがよさそうに見えますが、糖尿病などでないならば、かえって無用な検査をしがちになることを米国では戒めています。手術前検査に疑問を感じたならば、なぜその検査が必要なのか、率直に尋ねてもよいでしょう。

チュージング・ワイズリーの考え方では、子供用眼鏡には否定的だ。子供を思う気持ちが無駄遣いにもならないよう、知識武装が必要(PIXTA=写真)

②については、米国眼科学会が『特別に眼科疾患の症状や兆候が見られないならば、安易に画像検査を実施する必要はない』と述べています。眼科によらず画像検査はつい行ったほうがより詳しい結果を得られると思い、ほいほい受けてしまいがちですが、チュージング・ワイズリーでは一貫して画像検査には慎重な意見を示しており、それは眼科の場合も例外ではありません。自分の症状、疾患に対して、本当に意味があるのかこちらも医師に聞いてよいのです」

結膜炎やドライアイなど、ありふれた疾患でも、無駄な医療を受けさせられる場合があるという。

「ピンクアイと呼ばれるアデノウイルス角結膜炎では、米国眼科学会は『抗菌薬を使用してはならない』とまで述べています。細菌性の結膜炎にしか抗菌薬は有効ではなく、それも中程度以上の感染性炎症がある場合のみ。また、④の『硝子体内注射の前後に抗生物質を使用する』についても、意味がないと指摘されています。手術後の感染を防ぐために薬を使うのはよいことだと思ってしまいそうですが、最近の研究に基づいて、無駄だという意見が医療界でも強まっています」

⑤のドライアイを治療する場合では、「涙点プラグ」という治療が日本でも行われることがあるが、治療の効果の根拠が乏しいと指摘されている。

そして親が子供のためと思って選択している医療も要注意だ。

「子供の目の異常は一般的な検診で見つかるので、複数の検査を組み合わせた包括的な眼科検診で念入りに調べる必要はないと指摘されています(⑥)。また⑦については、子供の弱い遠視はよくあることで正常の範囲ですので、度数の弱い読書用程度の眼鏡ならば、斜視でもない限り避けるのが賢明です」

弱い遠視だけで子供も大して困っていないのに『お子さんに読書用眼鏡を作りますか?』と聞いてくる眼科医は、疑ってかかってもいいかもしれない。

そして忘れてはならないのが、「医院が衛生的かどうか」だ。