「管理職を検討中」男性9割、女性5割
【白河】経営陣が女性活躍に本気で取り組んでいることがわかるだけでも、モチベーションは高まりそうですね。
【中田】そうあってほしいです。18年に女性社員にアンケート調査を実施したところ、将来、課長、支店長などのマネジャー職に「就きたい」と明確に答えたのは16%しかいませんでした。ただ、「検討中」は39%いて、合わせると55%になりました。
【白河】女性社員の過半数が「検討中」というのは、高い割合じゃないでしょうか。
【中田】男性のアンケート結果は90%以上ですから、それに比べるとやはり少ないでしょう。社員の4割強が女性で、その4割以上が管理職に就くことをイメージできない。キャリアアップへの意欲をもっと底上げする施策が必要でしょう。
数字が独り歩きしてはいけない
【白河】「検討中」と答えた39%の背中を押してあげることも重要ですね。女性が管理職になりたがらない最大の阻害要因は、長時間労働だと私は考えています。そこがクリアできれば、自然と希望者が増えると思っていたのですが、「19時前退社」を実施している大和証券グループでも、あとひと押しが必要ということですね。
ある研究結果では、男性は60%の自信があれば手を挙げるけれど、女性は100%自信がないと手を挙げないと言われています。環境整備が重要だといわれる点です。また、目標とする女性役員の割合を示した「30%クラブ」のように、目標値を掲げて会社が意図的に女性を引き上げることも効果的ではないでしょうか。
【中田】育休の取得率などもそうですが、何ごとも黎明期には数値目標が必要なこともあります。私たちも、女性の役職候補を一度に複数立てるようなことをやりました。ただ、その時期が過ぎたら数字にこだわりすぎるのもよくありません。業種業態にかかわらず一律の目標を掲げ、形式的に数字を作りにいくと、地に足がついたダイバーシティにはならないと思います。
無理しなくても女性取締役は4割になる
【白河】すでに女性活躍の黎明期を過ぎたわけですね。それからは数字を急ぎすぎるのはよくないと。
【中田】大和証券グループでは2020年度までに女性管理職の比率を15%にすると掲げています。この数字が高いか低いかという問題ではなく、自然体で進めば、それがベストの割合だと考えているからです。仮に20%と定めたら、無理が生じていろいろな問題が起きてくるかもしれません。
【白河】無理した結果、男性社員から「不公平だ」と言われる企業もありますね。そのうえ、女性のほうからも昇進を断られてしまう。
【中田】取締役は現時点ですでに14人中3人が女性です。自然体でいっても数年で3割、20年後には4割を占めているはずです。