新人営業トップ10に女性社員が多く名を連ね、役員の女性比率もすでに2割を超えている。ダイバーシティ推進が進む大和証券でも、立場の違う社員同士の“不公平感”が見え隠れするという。どんな方法で克服しているのだろうか。中田誠司社長に聞いた。

金融は女性が活躍しやすい業界

【白河】大和証券は2009年に4人の女性役員が誕生し、2019年には田代桂子さんが副社長に就任されています。グループ全体で9人の女性が経営幹部にいて生え抜きの方がそろっています。多くの企業は一人突出した女性がいても、その後が続きません。それだけの次世代の経営層候補が社内にいるというのは大手企業でも珍しいと思います。

大和証券グループ本社 中田誠司社長(左)と少子化ジャーナリスト白河桃子さん(右)

【中田】私たちが「女性活躍推進チーム」を立ち上げたのは2005年ですから、ここまでくるのに14年かかっているわけです。けれども、続けてきた取り組みが今の成果に確実に結び付いています。女性活躍もダイバーシティも、企業のサステナビリティ(持続可能性)には欠かせません。とくに証券業界、金融業界は女性が活躍できる仕事が多いですから、生え抜きで役員になる人材が多いことはそれほど意外なことでもないでしょう。

【白河】証券業界は男性社会というイメージが一般にありますが、実は女性が活躍しやすい業界でしょうか? また会社からはどういった面で戦力になると考えられていますか?

新人営業トップ10の多くが女性社員

【中田】お客様からの厚い信頼を得て、大切な資産をお預かりするのが私たちの仕事です。そこでは真面目に辛抱強く、お客様と向き合う姿勢がなにより重要です。そういう仕事では、女性が活躍できるように思いますね。

大和証券は社員の4割強が女性で、10年以上前から新入社員は男女が50%ずつになっています。営業部門ではセールスの成績優秀者を表彰していますが、新人の場合はトップ10の多くを女性社員が占めています。それだけ優秀な人材がいるのですから、将来は当グループだけでなく金融業界を引っ張っていくような女性リーダーが出てくることも大いに期待できます。

【白河】優秀な女性が入社してくるのは、この10年以上の取り組みの大きな効果と言えるでしょうね。大和証券グループの女性活躍支援では、家庭や育児との両立を支援する軸と、キャリアアップなど活躍を支援する軸の2つがあるというお話ですね。

【中田】ええ、両立支援と活躍支援の2軸で考えています。両立支援は主にワーク・ライフ・バランス委員会で検討し、活躍支援のほうでは年4回の女性キャリア支援研修「Daiwa Woman's Forum」があります。後者は、新人からマネジャークラスまで100~200人の希望者が集まって、活躍支援の施策を検討しています。男性も支店長や役員が必ず出席しています。先輩の女性たちがどうやってキャリアアップしてきたか、苦労話なども含めて聞くことができる場です。若い人たちは社内にロールモデルがいることでキャリアアップの意欲が湧いてくると思います。

もちろん、社外のロールモデルを知ることも重要です。今年19年7月に開かれる「第24回国際女性ビジネス会議」も50席以上を確保して、女性役職員のみならず、男性役職員も参加する予定です。