女性同士、男性同士の不公平感をどう考えるか
【白河】長年のご経験から、女性活躍推進に成功と失敗の要因みたいなものはあるでしょうか。
【中田】私たちもまだオンゴーイングですから、成功と失敗を判断する段階ではありません。ただ、社内にも社外にも支援策を打ち出していくことで、女性社員たちの気持ちが自然と盛り上がっていくというのが、一つの成功モデルではないでしょうか。
支援策に不公平感を覚えるのは男性だけではありません。女性でも結婚しない方もいれば、お子さんがいない方もいます。家庭を持ってお子さんに恵まれた方が育休などの制度を利用すると、ほかの方にどうしても仕事の負担をかけることになる。「自分の仕事が増えてしまう」と不満を抱く女性がいても不思議ではありません。
男性の育休も、積極的に取得するように奨励していますが、「子どもがたくさんいると休みが多くていいな」と男性同士で不公平感が出るかもしれません。
フェアな評価をすることが一番大切
【白河】そういう声にどう対処されているのでしょうか。
【中田】仕事ですから、フェアに評価するということですね。女性だから、子どもがいるからといって評価を甘くすることはありません。営業職であれば、お客様からの信頼を得て、多くのお金を預けてもらうことが一つの評価軸になります。マネジャー職の女性も、男性と同じ成果を求められます。
男性と女性の社員数がほぼ同じになり、不公平感のないフェアな評価さえできれば、企業のサステナビリティは確実に上がっていくと思います。
【白河】評価も昔ながらの「株の買い替えの手数料」ではなく、新規資産に軸があるということですね。
長時間労働是正への取り組みを始めとした環境支援、背中を押す活躍支援の両方が14年続いている。大和証券グループは、女性活躍の理想的な導入例の一つといってよいのではないでしょうか。オンゴーイングとおっしゃいましたが、今後どのように企業の実績に結び付くかという点でも注目していきたいと思います。ありがとうございました。
大和証券グループ本社 社長兼CEO
1960年、東京都生まれ。83年早稲田大学政治経済学部卒業後、大和証券へ入社。2007年大和証券グループ本社執行役。09年取締役兼執行役、12年大和証券専務取締役法人本部長、16年副社長を経て、17年4月より現職。
構成=Top Communication