女性が多い組織をうまくマネジメントできる上司とそうでない上司は何が違うのか。『図解!ダイバーシティの教科書』より、女性をとことん追い詰めかねない危険なマネジメントスタイルを2つ紹介しよう――。

※本稿は、木下明子『図解!ダイバーシティの教科書』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

外観によって判断される偏った見解の概念。
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「アンコンシャス・バイアス」が女性の昇進を阻む

「女性のほとんどは、実は専業主婦になりたいのではないか」「ライフイベント中の女性に責任ある仕事を任せるのは気が引ける」「昇進したがるのは、脳が男性的な女性だけ」……こんなことを言う人は、まだまだ日本社会で少なくない。優秀でやる気もあるのに、上司や同僚にこういったことを言われた女性が、仕事へのモチベーションや自信を失ったり、離職につながったりしてしまったケースは、私が知るだけでも枚挙にいとまがありません。

これらは、いわゆるアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)による言動です。もちろん男性から女性に対してだけではありません。「男たるもの一家の大黒柱として家計を担うべき」「男は上を目指して当たり前」「若手は下積み的な仕事に徹するべき」といった言動も同じです。

誰もがバイアスをもっている

「バイアス」というと、日本語では「偏見」ですから、それ自体を悪のようにとらえて直視するのを避けようとする方がいますが、それは違います。私の中にも、誰の中にもアンコンシャス・バイアスはあります。一番危ないのは「私は一切バイアスなどない」という方だと思います(そんな方この世にいないですから)。

大切なのは、自分の中のバイアスを完全に消そうとするのではなく、まずは気づくことから。気づいたら、特に職場にいる間は、言動に出さないように意識的に気をつけること。これだけでも職場に及ぼす負の影響は劇的に変わります。悪意なしに相手を深く傷つけたり、仕事のモチベーションを下げたりすることが減っていくはずです。

これからの時代を担い、多様な人材をマネジメントするインクルーシブリーダーになるには、誰に対しても科学的根拠なきバイアスを向けることを意図的に避けることが、ご自身を守り、スムーズに部下をマネジメントすることにつながるのです。