仕事の割り振りに役立つ計算方法

前回に続き、中学受験の算数で出題される「特殊算」を取り上げる。特殊算は小学校の教科書ではあまり扱わないが、中学受験では必須だ。特殊算には「ニュートン算」や「平均算」など20以上あるが、今回は「仕事算」にトライしていただきたい。

「ある仕事をするのに、Aさんは6時間かかり、Bさんは4時間かかる。この仕事をAさんとBさんが一緒に行った場合、何時間何分で終わるか?」

この問題の解き方は、まず全体の仕事量を「1」とおくのがポイントだ。そうするとAさんが1時間にこなせる仕事量は、「1÷6=1/6」となる。同様にBさんが1時間にこなせる仕事量は、「1÷4=1/4」である。

そして、2人が一緒に仕事をした場合、1時間当たりの仕事量は「1/6+1/4=2/12+3/12=5/12」となる。全体の仕事量は「1」なので、2人が一緒に仕事をすると、「1÷5/12=12/5=2時間+2/5時間」になる。「2/5時間=60分×2/5=24分」なので、「2時間24分」が答えである。

この全体の仕事量を「1とおく」という考え方は、小学生には抽象的で理解するのが難しい。実際は、全体の仕事量を1以外の数とおいても、同じ答えを導ける。では、全体の仕事量をどんな数にしたら、より楽に解くことができるのだろうか?

そのより簡単に解くためのキーワードが「最小公倍数」だ。今回の問題では、6と4の最小公倍数である、12を全体の仕事量とするのである。そうすると、図のように分数の計算が減り、格段に解きやすくなる。最小公倍数は小学5年で習うので、生徒も「なるほど」と感覚的に理解できるし、整数の計算が増えるので、ケアレスミスが起きにくい。

では次に、仕事算の応用問題にチャレンジしてみてほしい。

「ある仕事をするのにAさんは32日かかる。その一方で、同じ仕事をBさんは20日ですませられる。この仕事をAさんとBさん2人で一緒に始めることにした。ところが、Aさんは途中で何日か休んだため、仕事をすべて終えるのに15日かかった。Aさんは何日休んだか?」