新潟の地域アイドルから「日本のアイドル」になった

NGT48の山口真帆の卒業公演が終わった。

山口を含めたった3人だというのに(後から5人が加わったが)会場はファンで埋まり、会場周辺ではネットのライブ中継に見入るファンが多くいた。

暴行事件については語らなかったが、欅坂46の『黒い羊』を歌ったことで、山口は運営側や、襲って来たアイドルハンターといわれる連中と通じていた元仲間への痛烈な批判を込めたようだ。

NGT48劇場2周年を記念したコンサートを行うアイドルグループ「NGT48」の山口真帆さん=2018年1月8日、新潟市内(写真=時事通信フォト)

歌詞には、「黒い羊 そうだ僕だけがいなくなればいいんだ そうすれば止まっていた針はまた動き出すんだろう?」というフレーズがある。その内容を受けてスポーツニッポン(5月19日付)は、「山口は応援してくれたファンに感謝し『これからの夢に向かって力強く歩んでいきたい。またみなさんとお会いできるように頑張ります』と前を向いた。目を真っ赤に泣きはらして『ありがとう』と手を振り、アイドル人生にピリオドを打った」と書いていた。

この事件をきっかけにして、山口は新潟の地域アイドルではなく、日本のアイドルへと飛翔した。23歳の女性が凄いことをやってのけたものである。彼女は女優やモデルをやってみたいと考えているようだが、引く手あまたであろう。

若い女の子たちを餌にする「AKB商法」の必然的な結末

一方、哀れなのは残されたNGT48のメンバーたちである。今後の活動については白紙状態で、来月以降もめどが立っていないと報じられている。ラジオやテレビのレギュラーも終了して、広告契約もすべて打ち切りになったそうである。

元はといえば、運営側の事件に対する認識の薄さ、対応のまずさがこうした結果を招いたことはいうまでもない。若い女の子たちを餌に、男たちからカネをふんだくろうという"商法"が行き着いた必然的な結末であろう。

だが、これですべてが終わったわけではない。AKB48も人気に陰りが見え、10年続いた総選挙というバカ騒ぎも中止になってしまった。

山口の事件で明らかになった、こうした商法の危うさを考えれば、ここで区切りをつけるべきだと思うだが、不思議に、そうした声が上がらないのはなぜだろう。