ボルボのマークのピンバッジも新たに作成

――人材育成にも力を入れられていますね。

【木村】お客さまをハッピーにして顧客満足(CS)を高めなければなりません。実は私が社長になる前には販売員のドレスコードもありませんでした。プレミアムな商品を売っているのだからスーツを着て売るのが当然です。

スーツに付けるボルボのマークのピンバッジもつくりました。商品知識も豊富にしていなければなりません。年2回、サーキットに販売員を連れて行って競合車も含めて運転し、何が違うのか、ボルボの良さは何かを教えます。ブランドに対する誇りが生まれ、仕事へのやりがいが増します。

従業員がハッピーでなければお客さまをハッピーにすることはできません。そのためには従業員満足(ES)を高めなければなりません。会社が高収益になれば給料も増える。人材教育にもお金を使い、いい人材を育て、採用する。そうすると会社も良くなり、ESが増し、CSも増していくという好循環が生まれます。会社の経営は「ヒト、モノ、カネ」だという人がいますが、私は「人、ひと、ヒト」だと思います。

スーツに付けるピンバッジ。右が新たにつくったもの。左はこれまで使われていたもの。専用品ではなく、簡素なつくりだった。

30年以上できなかった「ディーラーの入れ替え」を敢行

――ディーラーにも厳しく対応されていますね。

【木村】ディーラーのお客さまへの対応が悪ければ、お客さまに申し訳ありません。私が社長になってから50数社のディーラーの中で11社にやめていただき、3社に入ってもらいました。ディーラー網の見直しは30年以上ありませんでしたが、CSを高めることを第一と考え、ES、CSを高められないディーラーに去っていただきました。

こうした施策は3年ごとに交代する外国人社長にはできませんでした。ディーラーの入れ替えは短期的には売り上げに影響を与えますからね。私は「木村塾」という経営塾を2015年からディーラーの次世代経営者対象に開いています。ディーラーも含めて日本のボルボ全体でES、CSを高めなければならないと考えています。

――今後はカーシェアリングなどが伸びて、車の販売にも工夫が必要だと思いますが、どう対応されていますか。

【木村】すでに手を打っています。2017年に「スマボ(SMAVO)」という毎月の支払いが定額のリース販売を始めました。3年後には乗り換える特約があり、新車に乗り換えることができます。

また「ブリッジSMAVO」という新型車が登場するまでの間に別のボルボ車をリースで乗る仕組みも加えました。これは消費者が車に対する意識を「所有」から「使用」へと変えていることに対する新しいサービスです。