定番「吸引」ではない新しい薬の投与方法

▼喘息

もう1つ、分子標的薬によって劇的に変わっているのが喘息の治療法だ。今までは吸入をして薬を肺に入れる治療がメインだったが、注射で分子標的薬を打つことができるようになった。しかし、やはり問題はコストにある。

「アレルギー物質を抑える薬が使われ始めています。ただし、このタイプの分子標的薬には副作用がありますし、1回数万~数十万円かかる薬を1カ月で1~2回注射することになります。これに対して、吸引薬だと1カ月で1万円以下ですから。実際に患者さんが払うのはこの額の1~3割とはいえ、どの治療法を選ぶかについては費用対効果も考えなければいけません。もちろん難治性の人が分子標的薬を使用することは問題はありません。治療の選択肢が広がったからこそ、多くの治療薬についてしっかりと知っておくことが大切です」(園田氏)

「尿酸値は下げましょう」は最適解ではない

▼痛風

年末年始の飲み会が増えるビジネスパーソンも多いことだろう。そこで気になるのが痛風だ。発症を恐れて、健康診断で尿酸値を気にする人は多いだろう。しかし、この尿酸値でも論争が巻き起こっているという。園田氏が言う。

「かつて尿酸値は7.0mg/dLを超えたら治療して下げたほうがいいという考え方が一般的でした。しかし最近は、年に数回痛風の発作が出るだけなら、尿酸値を下げるのではなく、『痛みがあるときだけ薬を飲めばいい』という考え方も出てきています。いずれが正しいのか結論が出ているわけではありませんが、自分のライフスタイルと照らし合わせながら医師に相談することが望ましいと思います」

とはいえ、痛風が重症化すればQOL(クオリティオブライフ)は大幅に低下する。尿酸値を気にしなくていい、というわけではなさそうだ。