働き盛りのビジネスパーソンは、多少の体調不良は見て見ぬ振りをしているかもしれない。だがそれは危険だ。今回、さまざまな「病気リスク」への対処法をまとめた。第2回は「くも膜下出血」(脳神経外科)について――。

※本稿は、「プレジデント」(2017年1月2日号)の掲載記事を再編集したものです。

自覚症状はなく突然の激痛が襲う

くも膜下出血は、脳梗塞、脳内出血と並ぶ脳卒中の1つ。

写真=iStock.com/metamorworks

脳には、頭蓋骨に近い順に硬膜、くも膜、軟膜と3枚の膜がある。このうち、くも膜と軟膜の間で、脳血管にできたコブ状の脳動脈瘤が破裂するのがくも膜下出血だ。

これまで3500例ほど動脈瘤の手術を行ってきた、順天堂大学医学部脳神経外科の大石英則教授はこう解説する。

「くも膜下出血は、40代以降の発症がほとんどで、高齢になるほど発症の可能性が高まります。年齢が上がるとともに動脈硬化の可能性が高くなり、脳動脈瘤ができるからです」

くも膜下出血は遺伝性が高いともいわれている。

「私の経験では兄弟、叔父叔母といった三親等以内での発生の確率が高い。親族に発症した方がいる場合には、3~5年に1度脳ドックを受けるとよいでしょう」

日本人の100人中数人は動脈瘤を抱えているという。動脈瘤自体は、すぐに発見できるが、問題は発見した後の処置をどうするかだという。

「経過を観察するか、手術をして破裂を防ぐか、判断は難しい」と大石教授。なぜなら、治療にはリスクを伴う手術が必要だからだ。手術は、頭を開けて動脈瘤の入り口をクリップで留めるクリッピング術か、足の付け根からカテーテルを通じてコイルを入れ、動脈瘤に血が入らなくするコイリング術が用いられる。