アメリカの「プレミアム掃除機市場」で、あのダイソンを打ち破ったメーカーがある。「シャークニンジャ」だ。その強さから、同社は「ダイソンキラー」とも呼ばれる。昨年8月の日本上陸にあたり、日本法人の社長には、ダイソンの元社長が抜擢された。渦中の人物、ゴードン・トム社長に、掃除機市場の攻略法を聞いた――。

ダイソン元社長が、ダイソンの敵に

ダイソンが火付け役となった「プレミアム掃除機」ブーム。いまや5万円を超える価格帯の掃除機がメーカー各社から続々と発売されている。なかでもダイソンの人気は底堅く、コードレススティック型掃除機の4~5割のシェアを誇ると言われている。

シャークニンジャ株式会社 ゴードン・トム社長

しかし、日本と同じくダイソン一強だった米国において、ダイソンを打ち破ったメーカーがある。シャークニンジャだ。アメリカでは「ダイソンキラー」とも呼ばれる同社は2018年8月日本市場に鳴り物入りで参入した。同社の日本法人社長、ゴードン・トム氏は、1998年にダイソンが立ち上げた日本法人の社長に抜擢され、それまで国内での認知度はゼロに等しかったダイソンの名を世に知らしめた、いわばプレミアム掃除機市場の立役者だ。同社の参入は、日本のプレミアム掃除機市場にどのような影響を与えるのだろうか。

――シャークニンジャの成り立ちについて教えてください。

2015年からシャークニンジャという名前になりましたが、新興メーカーではありません。元は「ユーロ・プロ」という名の生活家電メーカーで、北米では100年以上の歴史があります。ユーロ・プロは「シャーク」という掃除機ブランドと「ニンジャ」という調理家電ブランドを持っていますが、両ブランドの知名度の高さを受けて社名も「シャークニンジャ」に変更されました。

潔癖で品質に厳しい日本人が大好き

――アメリカで急成長を続けるシャークニンジャですが、日本市場参入を決めた理由は何だったのでしょうか。

本社の売り上げは現在およそ2000億円で、その内95%は北米です。北米では掃除機だけでなく、ほとんどの調理家電に関しても高いシェアを獲得しています。ある意味シェアを獲得し尽くしてしまった状態です。では今後どうするかと考えたとき、選択肢は3つありました。ひとつは「まだ会社が作っていない製品を開発する」。2つ目は「まだ売っていない市場に進出する」。3つ目は「その両方を取る」。迷うことなく3つ目の道を選びました。