恵まれた家庭に育った人も多い

次に、アンダークラス女性の生い立ちをみていこう。図表3と図表4は、他の階級、そしてパート主婦、専業主婦と比較したものである(女性の資本家階級は人数が少ないので省略した)。

図表3をみると、アンダークラス女性の出身家庭は貧しかったわけではなく、貧しかったという人の比率は10.2%で、むしろ低いことがわかる。ちなみに豊かだったという人の比率は27.3%で、平均より高い。家に本が10冊以下しかなかったという人の比率は26.3%と多いが、アンダークラス男性(37.1%)に比べればかなり少ない。学校外教育を受けたことのない人は30.8%でやや多い、両親が離婚したという人、親から暴力を振るわれたという人の比率も、低い部類である。アンダークラス男性との違いは、明らかだろう。アンダークラス女性は、アンダークラス男性のように、貧困な、あるいは家族関係に問題のある家庭に育った人が多いわけではない。むしろ普通の、あるいはやや恵まれた方の家庭に育った人が多いようである。

(画像=『アンダークラス』使用図版をもとにプレジデントオンライン編集部作成)

男性よりも多様なアンダークラスへの流入

しかし図表4をみると、少し印象が変わってくる。

(画像=『アンダークラス』使用図版をもとにプレジデントオンライン編集部作成)

成績が悪かったという人は、アンダークラス男性(49.3%)ほどではないが、31.5%とやや多くなっている。また学校でいじめにあったという人は33.7%と多く、アンダークラス男性をも上回る。調査結果によると、出身階級を問わず女性は男性に比べていじめにあった経験をもつ人の比率が高い傾向があるが、それを考慮しても、やはり高い。不登校の経験(「病気でもないのに学校を休みがちになった」)のある人も、9.8%と多い。最終学校を中退した人も10.8%で、アンダークラス男性ほどではないにしても高い。そして最終学校を出てすぐに就職した人は72%で、他よりかなり低い。しかしアンダークラス男性の56.3%に比べれば、16%ほど低い。

どうやらアンダークラス女性は、男性に比べると多様なルートでアンダークラスに流入するようである。