A社が「なぜ」の答えを見つけるために試みたのが、営業活動の「見える化」でした。本社のマネージャーが優秀なスタッフを100人選び、得意先に同行して「何をしているのか」「何がお客さまに喜ばれているのか」を調査したのです。

桑原晃弥『トヨタ式5W1H思考』(KADOKAWA)

すると、できるスタッフが日頃からどのような活動を行い、得意先との親密度をいかにして高めているかがはっきりと浮かび上がってきました。そこでA社は、できるスタッフの活動をベースに「最低限の活動項目」のマニュアルを作成しました。

そこには、

(1)売り場フォロー
(2)他社動向を集めるための情報収集
(3)注文してもらうための促進活動
(4)販促企画の提案
(5)売り場の拡大

といった活動項目のほかに、たとえば「販促企画を提案できたか?」「販促企画を先方は検討してくれたか?」「ポスターなどを貼ってきたか?」といった質問票も付いていました。

スーパーマーケットなどを訪問したスタッフはこれらの項目について1つずつ「イエス」「ノー」を書き込んで本社へと送信します。その結果を集計すれば、1人ひとりのスタッフがどのレベルの活動を行い、どのように成果につなげているのかが一目でわかります。

「ノー」をどう「イエス」に変えるのか

成果を上げているスタッフは圧倒的に「イエス」が多いのに対し、成果の上がらないスタッフはやはり「ノー」が多くなります。ただし、目的は「イエス」と「ノー」の数を競うことではありません。

こうした項目があれば、これまで成果が上がらなかったスタッフも「何をすれば成果につながるのか」を知ることができます。「ノー」が多ければ、どうすれば「イエス」にすることができるかを考え、行動すればいいのです。