「貧乏サイクル」から、脱却する方法

では、どうすればいいのでしょうか。解決策は、運用期間を延ばすか、現実的な運用率で運用するか、貯蓄率を上げるか、収入を増やすかです。

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まず、期間から見ていきましょう。40~50代の人の多くは、「運用期間が限られているから、1億円なんて無理だ」と思うかもしれません。しかし、いまは国が65歳以降も働き続けることを推奨する時代です。40歳の人が70歳まで働けば、30年運用できます。

といっても、株式や投資信託、外債などの値上がり益(キャピタルゲイン)を狙う証券投資では、価格に上がり下がりがあり、利益を得られるときもあれば、反対に損失を被るときもあります。常に5%程度のリターンを狙えるわけではありません。しかし、価格が割安なときにしっかり仕込むことができれば、5%や10%のリターンも不可能ではありません。日本株を例にすると、アベノミクス直前の株価が安いときに仕込んでいれば、今ごろ大きな利益を手にできていたでしょう。ところが、多くの人は、株価が上がってから投資を始め、高値づかみをします。株価が下がって損をすると怖くなって、株式市場から退場する。また株価が上がると「リベンジ」とばかり高値づかみをし、また損をする……。私たちは、前者を「金持ちサイクル」、後者を「貧乏サイクル」と呼んでいます。

過去を振り返ると、概ね5~10年のサイクルで好景気と不景気が繰り返されています。運用期間が30~40年あるなら、少なくとも3~4回は不景気がくる計算です。この波に乗れるかどうかが、1億円をつくれるか否かの鍵になります。金持ちサイクルにある人は、好景気のときにはしっかりと元金を貯め、不景気のときに投資をする。そして、好景気に売却して、不景気(=投資タイミング)を待ちます。チャンスが到来したときには躊躇わずに投資をするのです。これに対し、貧乏サイクルに巻き込まれている人は、好景気に消費と投資をし、不景気に損失を膨らませてしまいます。まずは、ここから脱却することが重要です。

資産が増えてきたら、主にキャピタルゲインを狙う証券投資から、賃料収入などインカムゲインも得られる不動産投資などに歩を進めるといいでしょう。ただし、業者が「節税」や「保険代わり」と勧める物件は避けたほうが無難です。「投資しても儲からない」と言っているのと同じだからです。

最後に、そもそも論になりますが、収入を増やすことも考えたいところです。妻が専業主婦ならパートに出る、パートタイマーなら正社員になることで、家計の収入が増えます。1日も早く貯蓄と運用を始めることも重要です。年を取りすぎてから1億円を手にしても、楽しんで使うことができない可能性が高いからです。