複雑な事情が増える40代女性

40代女性の頻出ワードも見てみると、女性に偏って頻出しているものの中に、「遠距離」、「連絡」、「待つ」というワードが出てきています。具体的には、「婚活で遠距離はむずかしい?」や、「連絡を待ってしまうのは未練がある証拠ですか?」、「忙しくて会えないという彼から連絡を待っている状態なんだけど、これはどうしたらいいのか」といった質問が投稿されています。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/bee32)

このような悩み自体は40代女性だけに限ったものではないでしょうが、40代は20代に比べて悩みの背景により複雑な事情を抱えていることが多い、ということはあるようです。

例えば、女性にのみ出現しているワードの1位が「奥さん」であることからも分かる通り、この世代では不倫についての相談も多く見られます。また、「30代」というワードも女性に偏って頻出していますが、これは「30代の同僚が気になる」、「30代独身男性に聞きたい」といったように、年下への恋に関連した相談で出てくるワードです。

「バツイチ」が頻出する理由

あるいは、「バツイチ」というワードも女性に偏って出現していますが、こちらは「婚活中の人が、バツイチかどうかメールなどで最初に聞いていいか」だったり、「バツイチ子持ちの人と恋愛を進めていいか」、「離婚して新しく彼女ができたら元妻と比較するか」といったように、相手の男性の結婚歴を気にする相談が多いためです。厚生労働省の人口動態統計年報の再婚に関する統計でも「男性が再婚で女性が初婚」というパターンのほうが「男性が初婚で女性が再婚」というパターンより多いため、女性のほうが相手の離婚歴を気にする機会が多いのでしょう。

このように、年代が上がることで女性の悩みは20代に比べて多様化しているようですが、容姿に悩んで悶々としている男性に比べ、女性のほうが次のアクションにつながりやすい能動的な相談が多い、というのも傾向として見えてきました

次回はさらに上の年代、60代男女がどんな恋の悩みを抱えているのかご紹介していきます。また今回の一連の分析から、デジノグラフィが持つ今後の可能性について考えてみたいと思います。

酒井 崇匡(さかい・たかまさ)
博報堂 生活総合研究所 上席研究員
2005年博報堂入社。マーケティングプラナーとして、教育、通信、外食、自動車、エンターテインメントなど諸分野でのブランディング、商品開発、コミュニケーションプラニングに従事。2012年より博報堂生活総合研究所に所属し、日本およびアジア圏における生活者のライフスタイル、価値観変化の研究に従事。専門分野はバイタルデータや遺伝情報など生体情報の可視化が生活者に与える変化の研究。著書に『自分のデータは自分で使う マイビッグデータの衝撃』(星海社新書)がある。
(写真=iStock.com)
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