「趣味」で老後を悠々生き延びる人転落する人

長くなった老後の生活費を工面する方法は、主に4つあります。

1)毎月の貯金額を増やすこと(現役時代に収入増と支出減の工夫をする)。
2)「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「企業型確定拠出年金」を利用して、年金の受給額を上乗せすること(iDeCoは、掛け金が所得控除されるので、節税効果もある)。
3)「つみたてNISA」などで資産運用。
4)65歳以降も働いて収入を得ること。

このうちいちばん確実なのは、65歳以降も働くことです。65歳からは年金が受け取れるため、フルタイムで働く必要はありません。年金や退職金を使いつつ、毎月の赤字分を補填できれば、十分なケースがほとんどです。

では、65歳以降でも働ける仕事はあるのでしょうか。私は仕事はあると考えています。

労働人口の減少を受けて、65歳以上の人にも働いてほしいと考える企業が増えています。内閣府の「高齢者白書」(2017年)によると、従業員31人以上の企業約15万社のうち、「高齢者雇用確保措置」(※)を実施した企業の割合は99.5%。ほとんどの会社で実施されています。また、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は74.1%でした。

※「高齢者等の雇用の安定等に関する法律」では、企業に「定年制の廃止」「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置を講じるように義務付けています

各社の動きも相次いでいます。今年4月、サラダ店「RF1」を運営するロック・フィールドは、定年後の再雇用年齢を75歳まで引き上げることを発表。さらに今年6月には、化粧品大手のポーラが、再雇用制度の年齢制限を撤廃することを発表しました。こうした流れは今後も続くのではないでしょうか。

ただし、65歳以降の再雇用の際は、嘱託や契約となり、正社員だった現役時代に比べて給与は減るケースが多いので注意が必要です。

▼元食品会社社員の女性はペットシッターで起業

退職前後に起業する人も増えています。

経済産業省の「中小企業白書」(2017年)によれば、男性で起業した人のうち、35%が60歳以上の人でした。全ての世代の中でもっとも多くなっています。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/damedeeso)

筆者の友人で都内に住む57歳の女性は、現在、フリーランスとして活動しています。仕事は動物好きという性格をいかした「ペットシッター」です。

ペットシッターとは、ベビーシッターのペット版。飼い主が旅行などで不在の間、犬や猫の食事の世話、散歩、掃除などを行います。ペットが病気や高齢で動けないので、代わりに世話をしてほしいという依頼もあるそうです。

この友人は数年前まで食品メーカーに勤務していて、その時は本業と平行して、ペットシッター会社でアルバイトをしていました。5月の大型連休や夏休み、正月はいつもアルバイトに励んでいました。そうした長期休暇はペットシッター会社の書き入れ時なのです。