親子の姿が目につくようになったフェス
夏の音楽フェス、「夏フェス」はいまや一大レジャーのひとつとなった。その草分けは1997年に始まり、1999年から毎年、苗場スキー場(新潟県湯沢町)で開催される「フジロックフェスティバル」(以下、フジロック)だ。今年も7月27日から29日まで、3日間にわたって開催される。
筆者はさまざまなフェスに参加したことがあるが、どこも以前に比べて親子連れの姿が目立つようになったと感じる。特にフジロックのような野外フェスは、キャンプのような雰囲気がある。そこに子連れで参加できるのは、魅力のひとつなのだろう。
一方で、巨大スピーカーの前に張り付いていると、小さな子供の聴覚を傷つけてしまう恐れがある。このため耳栓やイヤーマフの着用を呼びかけるアーティストも出てきている。また夏の野外フェスは強い日差しにさらされるため、熱中症などの危険もある。「フェスに子供を連れて行くのは親のエゴではないか」という指摘する人もいる。
第1回から「小学生以下入場無料」
フジロックは、第1回から「小学生以下入場無料」だった。そして2016年より、「保護者1名につき、中学生以下入場無料」と、対象年齢を引き上げた。また、「キッズランド」というエリアに、メリーゴーラウンドなどの遊具を設置するなど、子供向けの施設を充実させてきた。フジロックのプロモーションメディア「富士祭電子瓦版」では、16年から「こどもフジロック」という子連れのための情報発信ページをスタートさせている。
なぜフジロックは、子供の来場を増やすことに熱心なのか。フジロックを主催する株式会社SMASHの石飛智紹氏は、「1997年の第1回から、『親子3世代で楽しんでほしい』というテーマは存在していたんです」と語る。
「今ほど大規模なものではありませんが、キッズランドも第1回からありました。当時の写真を見ると、キッズランドに常時10人くらいは子供たちがいるんですよ。今はその10倍くらいがいつもいる。来場する子供は、体感的にはここ2~3年で急激に増えた印象があります」(石飛氏)